雨宮昭一『占領と改革』を読む。 本書の要点は、戦前戦後を貫く「協同主義」の存在。 この存在については、こちらの書評をお勧めしたい。 「協同主義」というのは、つまり「ソシアル」(俗にいう"リベサヨ"ではなく、欧州的な、増税と社会福祉を提唱し、「大きな政府」を擁護する社会民主主義)のこと。 つまり、市場主義と所有権と自由主義を優先する「リベラル」に対抗する、非・市場主義(反、ではなく)と社会福祉と平等主義を優先する「ソシアル」を指す。 (ただし、著者の言う「協同主義」のニュアンスは、欧州におけるソシアルとは、少し意味がずれている気がするが。) 本書の流れをざっくりまとめると、以下の通り。 戦前戦中を通じて、総力戦に臨む軍部とつるむ、協同主義(社会民主主義)勢力。 対抗するのは、市場原理を優先するリベラル一派(と、観念右翼や皇道派といった反動勢力)。 戦争を推進したのは、どちらかといえば前者だっ