「公共」という概念は、いまだ日本に根付いていない。たとえば「公共建築とはなにか?」と言われたら、日本人はこう答えると思う。 「誰のものでもない、みんなのための建物」 合ってる。合ってるけど、全然違う。もう少し言い方を変えると「誰かの私利私欲のためではなく、みんなの利益のために使われる建物」ということになるけれど、この一見正しそうな解釈こそが、日本を「公共」という考え方から遠ざけているのである。 試しに上の解釈のあとにどんな言葉が続くか考えてみる。 「誰のものでもない、みんなのための建物、なのでキレイに使いましょう」 いきなり「規制」だ。言葉は柔らかいが、もし壁にお絵かきでもしようものなら管理人が飛んでくるに違いない。まぁ、図書館でとつぜん壁にグラフィティを描きはじめるような奴は捕まって当然だが、こういう「公共」の解釈しかできないことで、案外日本人は不幸になっている。 さきに結論を言ってしま