おもしろい。ツッコミどころはあるが、究極原因にこだわる科学と、因果と相関に注目する医学の違いか。 タバコと肺がん、O-157や水俣病の事例を元に、医学的根拠とな何かを考えさせる一冊。同時に、パンデミックSFによくある、「パニックを避けるという口実で、責任のがれのため公表を伏せる政府」の構造的欠陥が放置されていることも、よく分かる。フィクションではない、かつて起きたことで、これからも大いにありうる未来が見える。 著者が攻撃するのは、要素還元主義だ。いわゆる、「分ければ分かる」というやつ。原因物質を究明し、人体へ影響するメカニズムが解明できる/すべしという立場に、真っ向から勝負する。そして、要素還元主義はしばしば、科学の名において悪用されていると説く。 たとえば、タバコと肺がんの関係。因果関係についてはアメリカ政府の報告書"Smoking and Health (1964)"で証明されているに