最近『教育社会学研究』の論文をざーっと読んでいるので、いくつか論文のメモを。 広田照幸, 2007, 「教育社会学はいかに格差-不平等と闘えるのか?」『教育社会学研究』80: 7-22. この論文は特集テーマ<「格差」に挑む>の一部。内容をまとめるのが難しいので、少々恣意的に抽出したポイントだけ。 教育社会学が格差問題に取り組む際の難点は、格差問題が基本的には教育の外部の問題であることにある。具体的には二つの課題がある。 個人の教育とその後の人生の間にタイム・ラグがあるため、教育の外の社会の将来のあり方(たとえば格差を広げる方向にいくのか、福祉を通じた再分配を充実させる方向にいくのか)で適切な教育制度も変わる。 雇用・社会保障などのシステムは基本的には教育の外部の問題であり、「『教育さえ変えれば』という無用の幻想を振りまかないためにも、教育の改善を通してできることの限界をきちんと設定、明示