戦後78年が過ぎ、プロの役者による戦争や被爆の体験を語り継ぐ活動が先細りしている。広島、長崎の被爆者の手記や遺稿などを基にした朗読劇「この子たちの夏 1945・ヒロシマ ナガサキ」を長年手がけてきた演劇制作の地人会新社(東京・新宿、渡辺江美代表)が8月6日の東京都世田谷区での公演終了をもって活動を停止した。「芝居づくりが時代に合わなくなってきた」としている。(山岸利行) 「この子たち──」は、木村光一さんの構成・演出で1985年初演。前身の地人会時代から含めて全国約400市町村、800回以上の公演を行い、戦争の悲惨さ、原爆のむごさなどを伝えてきた。反戦を声高に訴えることをせず、「母と子」の情愛を中心に構成された作品を届けてきた。