日曜の朝ママチャリに乗った南アジア系青年たち 7月9日。水原スウォンから華城ホアソンへ向かうサイクリングロードでママチャリに乗ったバングラデッシュ出身の青年と出会った。来韓して10カ月というが、ハングルは日常会話なら問題ないレベル。近くのアルミ加工工場で働いている。日曜日なので町に買い物に行く途中だった。会社の寮には8人のバングラ出身者が住んでいるという。 それから1キロも走らないうちにやはり中古のママチャリに乗った南アジア系の青年が3人、4人とグループで走ってくるのに遭遇した。華城市内ではバス停で2人の南アジア系の青年がバスを待っていた。1時間の間に10人もの濃い顔つきの南アジア系労働者を見かけたことになる。 韓国は南米出身者にも門戸開放 7月20日。益山市市街地のコンビニで南米系の青年2人組がアイスコーヒーを飲みながらスマホを見ていた。近くのガソリンスタンドで働いているペルー出身者だっ
2020年大統領選の投票結果を受け入れ、米国民主主義最大の危機を救ったのは、マイク・ペンス副大統領(当時)の宗教的信念に基づく不屈の正義感と勇気ある行動だった。もし、トランプ大統領の要求通り、上院議長の立場で米議会での「バイデン当選」最終承認を先送りしていた場合、米国政治史上前例のない大混乱につながる危険があった。 トランプとペンスの不動の関係が決裂した日 16年大統領選挙を迎え、トランプ候補の副大統領候補に指名されたペンスインディアナ州知事(当時)は、共和党きっての強硬な保守イデオロギー論客として知られ、選挙期間中も、トランプ候補と二人三脚で「米国第一主義」スローガンを各州遊説先でアピールし、民主党からの政権奪回に大きく貢献した。 17年1月、トランプ政権発足後、4年間の任期を通じ、大統領への絶対忠誠を誓い、確固たる信念のもとに大統領の立場と政策弁護に奔走した。敬虔で熱心なキリスト教徒と
岸田文雄首相は、10月3日衆院本会議での所信表明演説で、企業人のリスキング(学び直し)の支援に5年間で1兆円を投じると表明した。この点に関する首相の演説内容は以下の通りだ。 「また、リスキリング、すなわち、成長分野に移動するための学び直しへの支援策の整備や、年功制の職能給から、日本に合った職務給への移行など、企業間、産業間での労働移動円滑化に向けた指針を、来年6月までに取りまとめます。特に、個人のリスキリングに対する公的支援については、人への投資策を、「5年間で1兆円」のパッケージに拡充します」 この演説には重大な問題がある。大前提である、リスキングの定義が間違っているのだ。 混同してはいけないリスキングとリカレント 岸田首相は、リスキング支援と並んで「年功序列的な職能給からジョブ型の職務給への移行」を打ち出している。これは間違っていない。けれども、リスキングにより「企業間、産業間での労働
現地時間の11月8日に投票が行われた米国の中間選挙については、事前の予想としては、共和党が大勝すると言われていた。民主党の青に対して、共和党のイメージカラーが赤ということから、「レッド・ウェーブ」つまり共和党の「うねり」が到来するとか、共和党の「地滑り的勝利」といった予想がされていた。 本稿の時点では、最終結果は出ていないが、とにかく実際に開票がされてをみると、「うねり」や「地滑り」どころか、ほぼ「痛み分け」となっている。上院では、現時点では民主党49、共和党49で、残る議席はネバダ州で僅差で共和党が先行している。一部には民主が逆転するという観測もあるが、仮にここを共和党が取ると民主49、共和50となる。 一方でジョージア州では、民主党の現職、共和党の挑戦者双方が50%の得票を確保できないことが確定しており、12月6日に再選挙が決定した。その場合は、民主党の組織的な動員力が発揮されると言わ
ウクライナ軍は2022年10月29日にロシア海軍の黒海艦隊に対し、海戦史上の画期となる軍事革命を象徴する攻撃を行った。 攻撃を受けたロシア国防省の発表によれば、8機のドローンと7隻の自爆水上ドローン(以下、自爆USV)がセヴァストポリ港を本拠とする黒海艦隊に空と海からの対艦攻撃を仕掛けたという。攻撃をしたウクライナ側もUSVからの映像と共に攻撃を発表した。 これは人類史上初のドローンによる対艦スウォーム攻撃であり、無視できない軍事革命となる可能性が高い。航空機が戦艦を初めて撃沈したタラント空襲(1940)や日本海軍による真珠湾攻撃(1941)に匹敵する契機になりそうな見込みだ。 ウクライナ軍が使用した自爆水上ドローンの正体 そもそも今回の攻撃はどのようなものだったのだろうか。両軍の発表や既に報じられた分析を相互比較して論じてみよう。 まずロシア軍側としては複数のドローンと自爆USVの攻撃が
ETV特集「ロングインタビュー 銃撃事件と日本社会」(9月17日)は、安倍晋三元首相の暗殺事件後、メディアをまるで一色に覆ったような「旧統一教会と自民党」の問題とは、一定の距離をおいて、多様な言論空間を目指す優れたインタビュー番組だった。 インタビューは、もとより対象に対する事前の準備が欠かせない。しかし、それだけでは、今回のような秀作は生まれない。インタビュアーに言葉のやり取りの〝運動神経〟が問われる。つまり、相手の答えに対して、瞬間的に新たな方向性を見出して、準備していた内容とは異なっていても興味深い内容を引き出していく。 取材の醍醐味のひとつでもある。今回は、インタビュアーにベテランアナウンサーの道傳愛子を配して、作家の高村薫と政治学者の中島岳志、日本文学研究者のロバート・キャンベルそれぞれから引き出した、テロと民主制についての卓抜なインタビュー作品をつくりあげた。 「他者への目配り
現在の有権者は、日本の未来に責任をもった意思表明ができているだろうか (CARL COURT/GETTYIMAGES) 「政治家の皆さんはそれぞれに日本のことを考えて、社会を良くしようとしているはずなのに、貶め合うような論争ばかりが目について〝怖い〟イメージです」 小誌の取材に応じた早稲田大学の女子学生は日本の「政治」に対する印象をこう話す。彼女の言葉は現代の若者の声を代弁しているとも言える。 55.93%と戦後3番目に低い投票率を記録した昨年10月の衆院選。この選挙における10代~30代の投票率はいずれも全体平均を10%~20%近く下回り、実際に投票した人の割合は10代~30代を合わせても全体の2割に満たない(下図)。政治に〝怖さ〟を感じているとすれば、若い世代が距離を置くのも不思議ではない。 30代以下の投票者は20%にも満たない 「若者の投票率低下」や「若者の政治離れ」は何をもたらす
非効率な行政サービスはいつの時代も批判にさらされる。改革が叫ばれるが、一向に改善する気配がない。その対策として叫ばれるのが、評価指標(KPI)、PDCAサイクルによる行政評価、エビデンスベースの政策立案といった民間手法の導入である。こうした耳に心地よい「焼畑農業」式の対策が、現場の荒廃を招いている。 現場力を損なう「逆三角形の構造」 「お役所仕事」とは、非効率の代名詞である。窓口に行っても不親切な対応で、話を聞いてくれない。利用できるサービスのメニューがなく、他の窓口を紹介される。足を運んでも「うちでできることはない」とたらい回し。高い税金を払っているのに、いったい何をしているのか。 この問題に対して、内閣府でちょっと面白いワーキンググループが設置されている(内閣府「計画策定等に関するワーキンググループ」)。ワーキンググループの結論を先取りすれば、効率的な行政運営を目指した「民間手法の導入
3月中旬に突如として自民・公明両党の幹事長、政調会長らがぶち上げた年金受給者への5000円バラマキはいったん取り下げられた。このバラマキ策の本質的な問題は年金制度、特に現役世代の負担軽減策を骨抜きにすることにあることは本連載「税による買収合戦 年金受給者5000円給付にNOを」で既に指摘した。 しかし、先程あえて「いったん」と言ったのは、立憲民主党の蓮舫議員の「なぜ高齢者だけなのですか?」という国会での質問に象徴され、コロナ禍で露わになった「バラマキたがる政治と欲しがる国民」の存在があるからだ。実際、立憲民主党の泉健太代表は、「年金受給者への5000円バラマキ」を上回る低所得子育て世帯への5万円給付を打ち出した。今後次の参院選を睨んで与野党入り乱れたバラマキ合戦に突入するだろう。 では、なぜ政治はバラマキたがり、国民は欲しがるのだろうか? 高まる高齢者の〝政治力〟 政治がバラマキたがるのは
ロシア=ウクライナ戦争の厳しいニュースが連日のように飛び込む中、日本の政治家、特に野党政治家の発言には大きな「幅」がある。最近でこそ、トランプ派や極端な左派など、米国の政治にも良くない意味で「幅」が出てきた。だが、基本的には、実現可能な政策パッケージを掲げて二大政党が競う米国から見れば、日本の政界の抱える「幅」は理解が難しい。 例えば、日本共産党の志位和夫委員長は「ロシアの侵略を見て『日本の平和は大丈夫か』と心配する声があるが、相手が軍事や核兵器の論理で来たときに、同じ論理で対抗して『軍事対軍事』の悪循環に陥ることがいちばん危険だ。憲法9条を生かす外交戦略こそ、いま必要だ」と指摘したそうだ。 確かに米国から見れば「幅」の振れ方としては極端である。ただ、同じ発言の中で、志位氏は「無抵抗主義ではなく、個別的自衛権は存在している。万が一、急迫不正の主権侵害が起こった場合には、自衛隊を含めてあらゆ
ロシアはウクライナ侵略でシリア人傭兵部隊を投入するなど、戦争は一段と複雑な様相を見せ始めた。この裏では、プーチン・ロシア大統領の私兵軍団とも呼ばれる民間警備会社「ワグネル」の暗躍が取り沙汰されているが、外国人傭兵の参戦は「ロシア軍の損害が予想以上に甚大である証拠」との見方が強い。 報酬3000ドルで募集 米紙ワシントン・ポストなどによると、プーチン氏は3月11日のショイグ国防相とのオンライン会談で、義勇兵をウクライナに送り込むことを承認した。同氏は「手弁当でウクライナ東部ドンバス地方の(ロシア系)住民を助けたいという人々がいる。彼らを戦闘地域に移動させなければならない」と述べる一方で、ウクライナが国際法を侵犯し、公然と外国人傭兵を募っていると非難した。 国防相によると、世界中から多くの義勇兵が「ウクライナ自由運動」に合流したいとして、ロシア当局に申請書を提出しており、その人数はこれまでに1
本編は、この論考だけ読んでもわかるのであるが、2月21日に公表した「ロシア製ミサイル配備を決めたインドの深刻な事情」と併せて読んでいただけると、よりわかりやすい、増補アップデート版である。2月24日にロシアがウクライナ侵攻を開始したため、筆者はそれにまつわる、インドのロシアに対する姿勢を分析した。 インドのロシアに対する姿勢は、ロシアの侵攻に対する国連安全保障理事会(安保理)の場において明らかになった。国連安保理では、ロシアを批判し、ロシア軍の即時撤退を求める決議の採決を行った。15カ国中、11カ国が賛成し、反対したのはロシア1国であったから、ロシアが国際的に孤立したのは明らかであった。しかし、ロシアの侵略を批判する決議に対し、3カ国が棄権したのである。中国、アラブ首長国連邦(UAE)、そしてインドであった。 中国やUAEが棄権した理由は推測し易いことだ。中国はロシアを支援しつつ、一方で、
米富豪ジェフリー・エプスティーン元被告(故人)による性的虐待事件の裁判で、少女たちを元被告に仲介した罪などに問われた英社交界の有名人ギレイン・マックスウェル被告に、陪審が29日、有罪評決を出した。
小誌の創刊は、時代が昭和から平成となった直後の1989年4月20日である。平成時代は、政治の劣化や経済の停滞など、多くの「宿題」を残した。人々の記憶から忘れ去られないようにするには、正確な「記録」が必要だ。2号連続で「平成全史」を特集する。
真珠湾攻撃から80年となった2021年、山本五十六に注目が集まっている。NHKの特集ドラマ「倫敦(ロンドン)ノ山本五十六」放送を前に、4回に分けてその実像に迫っていく。 山本五十六が「戦争への道」において、海軍部内でいかなる役割を果たしたのかについて、一次史料に基づき学術的な探求を行った成果は少数であり、それらも一般に広く知られているとは言えない。1940年9月の日独伊三国同盟締結時における山本五十六の言動について、そのことがよく当てはまるように思われる。 三国同盟に不安吐露するも 同盟の締結を海軍として正式に認めた40年9月15日の海軍首脳部会議において、山本は同盟締結による米国との関係の悪化や、海軍の戦力整備の不安について、当時の海軍大臣であった及川古志郎らに問うたものの、明確な回答が得られないまま同盟賛成が結論となり散会した、という話がある。たとえば阿川弘之『山本五十六』(新潮文庫)
フランスの人気政治評論家、エリック・ゼムール氏(63歳)が11月30日、2022年4月に行われる仏大統領選挙への無所属での出馬を表明した。反移民を掲げ、欧州連合(EU)離脱も視野に入れたカリスマ指導者の行方に仏国内が揺れている。 無所属のゼムール氏は、動画投稿サイト「ユーチューブ」上で、出馬を表明。「もはやフランスを改革する時ではない。救う時だ。だから私は、大統領選に立候補することを決めた」と語った。 ゼムール氏は、1986年から長年、仏紙『フィガロ』を中心に新聞記者を務めながら、テレビの討論番組などで政治評論家として人気を集めてきた。政界とは縁のなかった同氏の大統領候補が囁かれ始めたのは、2021年9月頃だった。 これまでゼムール氏は、反移民や反イスラムの姿勢を全面的に訴え、「移民はわれわれの問題の原因ではない。われわれの問題を悪化させている」と豪語するなど、白人至上主義をちらつかせてき
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