イスラム組織ハマスがイスラエル南部を襲撃した1週間後、ナサニエル・ラオール(73)は中部の都市ペタフ・ティクヴァで精神科医およそ50人を相手に講演をしていた。テーマは、極度の大災害に見舞われたイスラエル国民のレジリエンス(回復力)だ。 集団的トラウマとそこからの回復について語るラオール(左) ラオールは米イェール大学とテルアビブ大学の双方から、精神医学と哲学の名誉教授の称号を授与されている。彼は講演のなかで、トラウマを引き起こすような大災害を「財産や人命に壊滅的打撃を与える自然・人的な事象で、社会構造や基盤、生活、日常の慣行すべてに破壊的な影響を及ぼすもの」と説明する。 さらに彼の次のスライドには「テロによる災害」がこう定義されていた。 「人間の本質や慣習の基本的前提を覆すことを目的とした行為。個人、集団、国家に広範囲かつ鋭く波及する意図的な衝突で、生命を野蛮におとしめ、死と極度の危険を拡