西欧の歴史に長く息づいてきた死刑という制度は、キリスト教の倫理からはずいぶん離れたものに見えるけれど、そのあたりの成立事情などは、意外にもあまり正面きって考察の対象にされてきてはいないのではないか……でもってそれはなぜなのか。そんな問題意識から、極刑の略史(というか、むしろ大きな見取り図だ)をまとめた小論を眺めてみた。ジェームズ・メギヴァン「極刑:キリスト教世界でのその特権的地位の奇妙な歴史」(James J. Megivern, Capital Punishment: The Curious History of its Privileged Place in Christendom, Proceedings of the American Philosophical Society, Vol. 147, No. 1, 2003)というもの。まとめのメモを記しておこう。死刑はもともとユダ