どこにでもいる大学生が授業料の未払いをきっかけにホームレスへの道を辿る映画『東京難民』。メディアが取り上げてきた貧困を取り巻くプロットを散りばめている「貧困ツーリズム」と評する荻上チキと、ホームレス支援に携わり現場から貧困を見ているNPO法人自立生活サポートセンター・もやいの大西連氏、『女性ホームレスとして生きる』の著者である立命館大学准教授の丸山里美氏が、『東京難民』で語られたものと語れなかったものについて語り合った。(構成/金子昂) 荻上 皆さん、こんばんは。評論家の荻上チキです。本日は『東京難民』試写会&トークショーにご参加いただきありがとうございます。今日のトークショーは、この映画を評価するものというよりは、映画のサブテキストとしてお聞きいただきたいと思っております。『東京難民』が語った、そして語らなかった貧困について、お二人の専門家とお話をしていきたいと思います。 さて、ゲストを
東京難民 ―― ひとつ踏み外せば、あなたもホームレス? 現代の若者の貧困を考える 大西連×丸山里美×荻上チキトークイベント&試写会にご招待いたします 社会 #東京難民#貧困#佐々部清 ネットカフェ難民の行く末、危険なバイトの真実、華やかなホストの裏側、そして流転の果てに辿り着くホームレス――格差社会のゆがみの中でもがく若者たちのリアルな姿を、真正面から描く衝撃作! 時枝修は、どこにでもいる大学生だった。授業をサボり、合コンで盛り上がり、気楽な毎日を送っていた。だが──何の通知もなしに突然、授業料の未払いを理由に、大学を除籍される。生活費全般の面倒を見てくれていた父親が、借金を抱えて失踪したのだ。当然家賃の支払いも無く、アパートから強制的に追い出された修は、ネットカフェに泊まりながら日払いのバイトで食いつなぐ。ある日、騙されて入ったホストクラブで高額の料金を突きつけられ、その店で働くしかなく
ウルグアイの大統領ホセ・ムヒカは、世界で最も貧しい大統領として知られている。彼はその資産の80%を寄付し、個人資産は約18万円相当の1987年型フォルクスワーゲン・ビートルのみで、郊外の質素な住宅に暮らしている。給与の大部分を財団や政府のプログラムなどに寄付し、月1000ドル強で生活する彼の姿は、多くの人の関心を集めている。 そして、昨年7月に開かれたリオ会議(Rio+20)でのムヒカ大統領のスピーチは多くの人々に衝撃を与えた。ウルグアイのような小国の代表のスピーチはもちろん後回しにされ、それに耳を傾ける人はほとんどいなかったが、彼はその場で経済の拡大を目指している現代社会に対して明確な警鐘をならしたことで、全世界へと広まった動画は大きな話題を呼んだのだ。 以下はその動画だ。また、その下にはスピーチの日本語訳を掲載した。この訳は、「hana.bi」というサイトを運営するAkira Uchi
(生活困難層の増加) 貧困に加え,教育や就労の機会を得られない,健康を害する,地域社会において孤立するなど,社会生活上の困難も含めた困難な状況を示す概念として「生活困難」を用い,その状況をみてみると,生活困難は幅広い層に広がっていることが分かる。 その背景には,単身世帯やひとり親世帯の増加など家族の変容,非正規労働者の増加など雇用・就業をめぐる変化,定住外国人の増加などにみられるグローバル化などがある。厚生労働省が平成21年10月に公表した相対的貧困率(以下「貧困率」という。)を見ると,全体の貧困率は10年の14.6%から19年には15.7%へ,子ども(17歳以下)では13.4%から14.2%へといずれも上昇している。 (女性の生活困難の状況) 男女それぞれに年齢層別に貧困率を推計してみると,ほとんどの年齢層で,男性よりも女性の貧困率が高く,その差は高齢期になると更に拡大する傾向にある(第
「豊かな日本なのに、ホームレスの方がいて驚きました」。カンボジアから留学に来た友人の率直な感想だ。日本の貧困問題は「世界の貧困に比べれば、問題視するほどではない」と、あまり光を当てられずにきた。しかしアフリカや各国にはびこる飢餓のような「絶対的貧困」の問題としてではなく、日本で考えなければならないのは、その社会のなかに身を置いたときに、生活上の望ましい状態を維持することができるかどうか、つまり「相対的貧困」だ。 わたしがこの日本の貧困問題について考え始めたのは、学生時代だった。もともと幼いころから母子家庭に育っていたため、生活が楽ではないことには慣れていた。けれどもそんななか、家庭を支えてくれていた母が癌を患った。手術後の経過は良好ではあったが、癌以外の病も患うこととなり、以前のように働ける状態ではなくなってしまった。 そこでわたしたちはまず市役所に行き、生活保護を申請することにした。する
5年ほど前、「貧困」が新たな社会問題としてクローズアップされはじめた時には「いくら不況とはいえ、GDPが世界第2位の日本でまさか……」と誰もが思ったことだろう。それから数年を経て、日本に貧困問題が存在していることは一般に認知されてきたものの、今のところ抜本的な改善策が講じられていない。それどころか、長引く不況にデフレ、円高が重なり、事態は徐々に悪い方へと進んでいる。 「高齢者に手厚く、若者に厳しい」という日本の支援制度の特徴を反映するように、これまでの貧困問題はとくに20代〜40代の若年層をイメージして語られることが多かった。ニート、フリーター、ネットカフェ難民、ワーキングプア……次々と現れる新しい貧困層の存在に社会は動揺し、彼らを定義するために多くの言葉が生まれた。 しかし、もはや貧困問題は子どもさえ例外ではない。『ルポ 子供の貧困連鎖 教育現場のSOSを追って』(光文社)は、保育園から
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く