“文庫や新書も図書館で読めるという読者の意識を変えるきっかけとして、図書館での文庫の貸出しをやめていただきたい” 10月13日、第102回「全国図書館大会・東京大会」第12分科会「公共図書館の役割と蔵書、出版文化維持のために」で、パネラーの一人、文藝春秋の松井清人社長が、こう訴えた(『新文化』2017/10/19)。 強い既視感(デジャヴュ)を覚えながら、「またか」とか「まだそんなことを」と評するのは控えようと思う。パネラー4名中3名が出版社社長の分科会であったとはいえ、全国図書館大会というアウェーでの、当の相手に直接訴えかけた言葉である。既に大会前から、松井社長がそのような訴えをすることは、知られていた。松井社長としては、パネラーとしての発言を予め漏らしてまでも訴えたい言葉であったわけで、それだけ出版社としては切実な問題なのである。 図書館が出版不況の元凶と主張する社長たち 文藝春秋の収