2023年11月5日~11日は「“生成AIが有料会員限定コンテンツをもとに回答”という日本新聞協会の主張にダウト」「学校読書調査」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります(ISSN 2436-8237)。 政治 日本新聞協会、著作権法の早急な改正を要望…AI無断学習容認で偽情報拡散の危険性も〈読売新聞(2 [...]
![「“生成AIが有料会員限定コンテンツをもとに回答”という日本新聞協会の主張にダウト」「学校読書調査」など、週刊出版ニュースまとめ&コラム #594(2023年11月5日~11日) | HON.jp News Blog](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/a596a595dc72f88130190713997bdd442f7fee6a/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fhon.jp%2Fnews%2Fwp-content%2Fuploads%2F2023%2F11%2Fimage254.jpg)
《この記事は約 2 分で読めます(1分で600字計算)》 公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所が発表した2022年コミック市場推計を元に、コミックを除いた書籍・雑誌(いずれも紙+電子)市場を算出した。コミック6770億円に対し、書籍が6680億円、雑誌が2855億円となり、ついにコミックが書籍を逆転したことがわかった。市場占有率はコミック41.52%、書籍40.97%、雑誌17.51%となった。 各市場の推移 出版科学研究所が1月25日の時点で紙の「雑誌」として公表している数字には、かなりの割合でコミック(「雑誌扱いコミックス」と「コミック誌」)が含まれている。そこで、コミック市場の内訳が発表された時点で、「書籍(コミックを除く)」や「雑誌(コミックを除く)」の実態を明らかにするのがこの記事の目的だ。 以下のグラフは、『出版指標年報』で「書籍扱いコミックス」と「雑誌扱いコミックス」が別
《この記事は約 21 分で読めます(1分で600字計算)》 少し遅くなってしまいましたが改めて、新年あけましておめでとうございます。 2022年も HON.jp News Blog をどうぞよろしくお願いいたします。 毎年恒例、編集長 鷹野凌による出版関連の動向予想です。 2021年の予想と検証 2021年の予想は、以下の5つでした。自己採点の結果を右端に付けておきます。 出版社系ウェブメディアの飛躍 → ○ 既刊の電子化が急がれる(というか急げ) → ○ 描き手争奪競争の更なる激化 → ○ 電子図書館サービスの普及がついに始まる → ◎ 映像コンテンツの需要がより高まる → ○ コロナ禍が簡単には沈静化せず、「2020年3月以降に起きた劇的な社会的変化は2021年も継続し、感染予防のため身体的な接触機会を減らすべく、さまざまなことの“遠隔化”は今後も急速に進む」という社会環境も含め、おお
《この記事は約 25 分で読めます(1分で600字計算)》 HON.jp News Blog 編集長の鷹野が、年初に公開した出版関連動向予想を検証しつつ、2021年を振り返ります。 2021年概況 出版科学研究所「出版月報12月号」によると、2021年1~11月期の紙の出版物推定販売額は1兆1049億円で対前年比0.4%減。コロナ禍前の2019年1月~11月期からは2.2%減となっています。上半期はプラスで推移したものの、下半期はマイナスが続いているとのこと。 12月の数字はまだ締まっていませんが、2021年の着地は1兆2100億円台、対前年比約1%減の見込みです。前年実績から計算すると1兆2114億円前後となります。紙の書籍は約2%増と2006年以来15年ぶりのプラス、雑誌は約3%減となる見込みです。同じく前年実績から計算すると、書籍が6794億円前後、雑誌が5409億円前後となります。
《この記事は約 5 分で読めます(1分で600字計算)》 アメリカの出版業界では今後、紙への回帰と、紙からの離脱が進むであろうという予測がなされています。これはどういうことか? おなじみ、大原ケイさんの解説です。 アメリカ出版業界のトレンド予想 米経済誌の「フォーブス」が、出版産業のトレンドを予想する記事を掲載した[1]。そこに掲げられた8項目には「小出版社がニッチに焦点を絞る」「デジタル購読者は今後も増える」といった、当たり前に思えるものもあるが、「なんのこっちゃ?」と首を傾げたくなる予測も含まれている。少し考察をしてみた。 Marketing will entail more valued content to the current audience and not so much in mainstream media. わかりにくいかもしれないが、このセンテンスの意味はこうだろう
《この記事は約 6 分で読めます(1分で600字計算)》 中国における日本文学の翻訳事情について、北京大学・馬場公彦氏によるレポート後編をお届けします。前編はこちら。 日本側出超、中国側入超の不均衡 日本文学の翻訳上の諸課題 中国図書市場での日本文学の人気が過熱気味に高まっていることは喜ばしい。だがそれゆえの悩ましい問題も顕在化している。田雁さんの研究書と尹朝霞さんの論文の指摘をまとめよう。 第1に重複出版の増加。とりわけ版権許諾料の発生しないPD作家の作品は、各社がこぞって出版している。尹さんの挙げた例によると、芥川の『羅生門』は訳者と出版社を換えて21点の版本が出ている。話題沸騰中の太宰『人間失格』は22点出ている。翻訳者同士が力量を競いあうことで訳文の質が向上し、読者が訳文の個性を吟味するという愉しみもあろうが、ここまで重複が激しくなると、あとは出版社同士が価格・装丁・付録などでの差
《この記事は約 16 分で読めます(1分で600字計算)》 コロナ禍による図書館休館問題を受け、文化庁はいま著作権法第31条 図書館等での権利制限規定を見直す検討を進めています。「図書館の本、スマホで閲覧可能に」という報道に喜ぶ声や、出版関係者が「民業圧迫だ」と反発している報道もあります。実際のところ、いまどのような制度になっていて、どのように改正されようとしているのでしょうか? まだ報告書が確定していない段階ではありますが、現時点での状況について解説します。 デジタル化・ネットワーク化に対応できていなかった まず前提として、著作権法には「私的使用」「引用」「学校の授業」「非営利無償の貸与」など、著作権者に無断で利用できる権利制限規定がいくつもあります。そのうちの1つが、第31条「図書館等における複製等」です。 複写サービスはFAXやメールが違法 この図書館での権利制限規定は以前から、デジ
《この記事は約 8 分で読めます(1分で600字計算)》 新型コロナウイルス感染拡大を受け、新学期からオンライン授業を行っている工学院大学附属中学校・高等学校。そこで働く司書教諭の有山裕美子氏は、生徒たちの自発的な動きに感心させられた。短期集中連載の、今回は後編。前編はこちら。中編はこちら。 改めて学校図書館を問い直す〈後編〉 改めて「情報」とは それでは、学校図書館で扱うべき「情報」とは何だろうか。IT用語辞典によれば情報とはインフォメーションであり、「物事の事情を人に伝えるもの。また、それを文字や図表、画像、音声、映像などを使って表現したもの」のことである。 当然のことながら学校で扱う「情報」は多岐にわたる。印刷メディアであれば、教科書、新聞・雑誌、図書等。視聴覚メディアであれば、写真やポスターなどの紙の媒体もあれば、CDやDVD、ブルーレイディスクなどを媒体とした音声教材や映像教材が
《この記事は約 7 分で読めます(1分で600字計算)》 新型コロナウイルス感染拡大を受け、全国の小中高校などが臨時休校となった。そんな中でも「学びを止めない」ため、学校図書館はどのような取り組みを行っているか? また、そこにはどのような問題があるのか? 司書教諭の有山裕美子氏(工学院大学附属中学校・高等学校)に寄稿いただいた。前中後編の短期集中連載でお届けする。 改めて学校図書館を問い直す〈前編〉 学校図書館の使命とは 私は学校図書館に関わり始めて、10年とちょっとになる。公共図書館からの転身だったので、最初はその違いに戸惑うことも多かった。学校図書館といえば、学校の中にある「図書室」のことで、多くの人にとっては、児童生徒が本を借りに行く場所という認識ではないだろうか。 実は、一般の人にはあまり知られていないかもしれないが、学校図書館は、学校図書館法[1]という学校図書館に関する独立法に
《この記事は約 14 分で読めます(1分で600字計算)》 新型コロナウイルス感染拡大を受け、学校で遠隔授業のニーズが急速に高まっている。その際の障壁とされていた著作権の問題をクリアにすべく、「授業目的公衆送信補償金制度」が前倒し施行される見通しだ。そこで本稿では、この新制度がどのようなものなのか、筆者の理解の範囲で解説する。 注意点 筆者は2015年に著作権などの入門書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』を著し、大学・短大で非常勤講師としてデジタル編集論・デジタル出版論などを教えているが、弁護士資格などは持っていない。本稿はもちろん、細心の注意を払い、さまざまな文献・資料を参照しながら書いてはいるが、もし誤認・誤記などあれば、遠慮なくご指摘いただきたい。 現行法はどうなっている? 現行の著作権法でも、学校その他の教育機関
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