終始固い表情だったトランプ大統領と金正恩委員長。史上初めての米朝首脳会談は世界中の注目を集め、これまで実現出来なかった北朝鮮ないしは朝鮮半島の非核化が実現するかもしれないという熱い視線が注がれた。というのも、前日まで予備交渉の実務を担っていた米国のポンペオ国務長官は「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)」を実現すると公言し、トランプ大統領は「準備万端」と豪語していたからだ。多くの人に「もしかしたら」、今度こそ北朝鮮の核兵器が廃棄され、北東アジアの秩序が大きく変容するかもしれないという期待が高まった。しかし、結果を見るとその期待とはほど遠いものになった。今回の首脳会談の結果は、これからの世界にどのような意味を持つのだろうか。 「朝鮮半島の非核化」の意味 共同宣言で最も重要なのは「朝鮮半島の完全な非核化」という表現が使われた点である。 元々「朝鮮半島の非核化」は1990年代に北朝鮮が