誤解を恐れずに言うなら、広島は何が何でもリーグ優勝にこだわるようなクラブではない。その証拠に、フロントは就任1年目の指揮官にノルマを課さなかった。 「常に優勝を背負わされるのではなく、J1に生き残りながら、5年に1回ぐらい優勝争いに絡めたらいいのかな」。織田秀和強化部長はあっけらかんと話す。 昨年度の営業収入は、J118クラブ中11番目の約26億8千万円。これはトップの浦和の半分にも満たない。赤字覚悟の大型補強は身を滅ぼすリスクをはらむ。地方クラブとして身の丈にあった経営を貫く理由だ。 最も優先するのは目先の順位ではなく、広島の代名詞ともいえる攻撃サッカーをいかに進化させていくか。「そこがわれわれの骨格」と本谷祐一社長。2008年のJ2降格時、当時のペトロビッチ監督を解任しなかったのは好例だろう。 5年半もの長期政権を担い、今日の土台を築き上げたペトロビッチ前監督が昨季限りで退任。クラブは