タグ

スゴ本に関するbassai718のブックマーク (70)

  • いきなり古典はハードル高い、「本の本」「100分de名著」をお薦めする

    「古典を読むべきか」という問いが面白かった。 [読書家の人は古典的な名著を読んできたのだろうけど] 古典は基礎体力のようなものだからやはり若いころに読むのがふさわしいのだろうけど、年齢を重ねてからでは読む価値が薄いという意見を聞くたびに、うるせえなじゃあ読まねえよなんて思ってしまう。読むのはせいぜいラノベなおっさんが古典を読む価値はあるのだろうか?ていうかそもそも読めるのだろうか? これへの応答[はてなブックマークコメント]がタメになる。説得力のある見解をコメントする人もいれば、答える形で優越感ゲームを仕掛ける人もいる。ここでは、わたしの考えをまとめてみる。 まず、「古典は若いときに読んだほうがいい」という意見について。 これは体力の話。ある種の勢いというか、読了したという自意識を求め、体力まかせのイッキ読みは、若いからできること。古典を読んだからエラいとかいう優越感(?)も、若いからもて

    いきなり古典はハードル高い、「本の本」「100分de名著」をお薦めする
    bassai718
    bassai718 2017/12/13
    ちょうど「100分で名著」で歎異抄を読んだところだったのでタイムリーな記事。確かにこういうきっかけでないと出会えない古典はたくさんあるだろう。
  • 本好きが選んだハヤカワの170冊

    オススメを持ち寄って、まったりアツく紹介しあう「スゴオフ」、今回のテーマは「ハヤカワ」!これまた楽しく美味しいだけでなく、積読山脈を成長させるスゴい回だった。 午後一時から夜八時、延々7時間のマラソン・オフ会、見てくれこの獲物。 ばかりですまぬ。場の"ふいんき"はやすゆきさんの「早川書房さんシバリスゴオフは直球、変化球アリで「さとし」が大人気の楽しいパーティだった」でどうぞ。 まずはSF、「ハヤカワといえばSF」の通念をあえて外したのか、SFはあるにはあるが、期待したより少なめ。おすすめプレゼンでは、イーガンもホーガンも、ギブスンもレムもないのがちょっと驚き。代わりにブラッドベリやハインライン、クラークが熱く語られる。暫定的結論によると、「幼年期の終わり」はSFオールタイムベスト、「ハイペリオン」はSFのラスボス」になった。「幼年期の終わり」と「ブラッド・ミュージック」はペアで読むと

    本好きが選んだハヤカワの170冊
  • 本好きが選んだ新潮文庫の160冊

    好きなを持ち寄って、まったりアツく語り合うスゴオフ。今回のテーマは「新潮文庫」。ジャンル不問・冊数未定でありながら、やってみるとむつかしい。 なぜと問うなら、自分の書棚と脳裏を浚ってみるといい。文芸、海外歴史、冒険、SF、純文、対談、ミステリー、ファンタジー、ドキュメンタリー、エッセイ、記憶から積山から、懐かしの一冊から流行りの新刊まで、いくらでも出てくるから。ありすぎて選べないのだ。 それでもムリヤリ選んだのが、「この新潮文庫がスゴい!(徹夜小説編)」。これは「新潮文庫」+「寝忘れる徹夜」という組み合わせで厳選したもの。そして、人力検索はてなで質問したのが、「『この新潮文庫がスゴい!』という、あなたのオススメを教えてください」になる。わたしの偏見「理系のはてな」を跳ね返す文理入り乱れの怒涛のラインナップが揃った。 そして、実際にみんなで語り合ったのがスゴオフ。新潮文庫の良さ(

    本好きが選んだ新潮文庫の160冊
  • この本がスゴい!2011

    今年もお世話になりました、すべて「あなた」のおかげ。 このブログのタイトルは、「わたしが知らないスゴは、きっとあなたが読んでいる」。そして、このブログの目的は、「あなた」を探すこと。ともすると似たばかり淫するわたしに、「それがスゴいならコレは?」とオススメしたり、twitterやfacebookやtumblrで呟いたり、「これを読まずして語るな!」と叩いたり―――そんな「あなた」を探すのが、このブログの究極の目的だ。 昨年までの探索結果は、以下の通り。 このがスゴい!2010 このがスゴい!2009 このがスゴい!2008 このがスゴい!2007 このがスゴい!2006 このがスゴい!2005 このがスゴい!2004 昨年から始めたオフ会で、たくさんの気づきとオススメと出会いを、「あなた」からもらっている。目の前でチカラ強くプッシュしてもらったり、物語談義を丁々と続けたり

    この本がスゴい!2011
  • 時を忘れる小説

    大きな現実の前では、文学はつくづく無力だな。 そも文学は人と人との間学(あいだがく)なのだから、人を超える圧倒的な事物には、術がない。しかし、言葉が人に対して影響をもつものなら、それがいかに微かであろうとも、その力を信じる。わたしは、物語の力を、信じる。 このエントリでは、時を忘れる夢中小説、徹夜小説を選んでみた。計画停電でテレビや電車が動かないとき、開いてみるといいかも。amazonからは書影のみお借りして、リンクはしていない。自分の書棚か、営業してる屋を巡ろう。文庫で、手に入り安そうなもので、かつ面白さ鉄板モノばかり選んだ。いま手に入りにくいのであれば、手に取れるようになったときの「おたのしみリスト」として期待してくださいませ。 ■大聖堂(ケン・フォレット、ソフトバンククリエイティブ) 十二世紀のイングランドを舞台に、幾多の人々の波瀾万丈の物語……とamazon評でまとめきれないぐら

    時を忘れる小説
  • この本がスゴい2010: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    今年もお世話になりました、すべて「あなた」のおかげ。 ともすると似たようなばかりに淫するわたしに、「それがスゴいならコレは?」と教えていただいたおかげ。もちろん、好きなだけ・屋さんだけで完結しても問題ない。それでも全部読むのに一生以上かかるだろう。だけど、自分の地平を拡張するため、あえて知らない趣味、行かない場所に足を運ぶ。その収穫が、沢山の「あなた」からのオススメになる。昨年までの探索結果はこの通り。 このがスゴい!2009 このがスゴい!2008 このがスゴい!2007 このがスゴい!2006 このがスゴい!2005 このがスゴい!2004 さらに、今年は「スゴ」のチャネルを増やしたぞ。「スゴオフ」と銘打って、リアルでの交流を図ってきた(直近だとスゴオフ@ミステリを12/3にするよ)。ネット越しと違うのは、圧倒的な情報量。おすすめをプッシュする熱とエントロピーが

    この本がスゴい2010: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
  • 「論理トレーニング101題」はスゴ本

    東大教授が新入生にオススメする100冊」に、必ず登場する名著。 書は、安直ビジネス書に群がり、カモにされているカモリーマン向けではない。週末にナナメ読んで、「なんとなく分かった気分になる」自己満足を目指していない。1問1問、エンピツとノートを準備して、101問すべてに取り組むべし。「解説書なんかいくら読んだって論理の力は鍛えられない。ただ、実技あるのみ」のとおだ。やれば、やった分だけ向上する。 大きく2部に分かれており、前半は、接続詞に注意して正確に議論を読み取り、その骨格をつかまえるトレーニング。そして後半は、演繹と推測の適切さを論証し、さらに論証を批判的にとらえる訓練をする。すべて、①練習問題→②自力で解く→③解説と答えあわせのくり返し。章末に、ちとムズめの問題が待ちかまえており、③の理解を確かめることができる。200ページたらずの薄手のなのに、中はどろり濃厚で、「飛ばして」「ナ

    「論理トレーニング101題」はスゴ本
    bassai718
    bassai718 2010/08/23
    前から読もう(解こう)と思って読めない本の一つ。時間のある時にじっくり読みたい。
  • Book Talk Cafe 第1回(スゴ本オフ)簡易レポ&オススメされた本リスト - 基本読書

    有名書評サイト『わたしが知らないスゴは、きっとあなたが読んでいる』の管理人であるダインさんと金巻ともこさん、それからyasuyukimaさんの三人の企画であるBook Talk Cafe 第1回に行ってきました。dankogaiさん、ダインさんをを始めとして有名な人ばかりということもあってかなりビクビクしておりましたが大変楽しかったです。すでにこっちでも(早い!!)shumaiさんによってまとめられています→Togetter - まとめ「SFだらけのBook Talk Cafe 第1回(スゴオフ会)の様子。」ありがとうございます! 今回は「みんなのオススメのSF(あるいはマンガ、アニメ可)を持ち寄って5分間でプレゼンし、最後にブックシャッフルをする」という趣向で行われました。ちなみにわたしはコニー・ウィリスの『犬は勘定に入れません』を持って行き、帰る時には森脇真末味が著者の『アンダ

    Book Talk Cafe 第1回(スゴ本オフ)簡易レポ&オススメされた本リスト - 基本読書
  • マクニール「世界史」はスゴ本

    800ページで世界史を概観できる名著。 「シヴィライゼーション」という文明のシミュレーションゲームがある。暇つぶしのつもりで始めたのに、暇じゃない時間まで潰されてしまう危険なゲームだ。マクニール「世界史」もそう。それからどうなる?なんでそうなる?に次々と答えてくれる書は中毒性が高く、読むシヴィライゼーションといってもいい。 ゲームのように面白がれないが、ゲームのように熱中して、マクニール「世界史」の最新完訳版を読む。世界で40年以上にわたって読み続けられており、blog/twitter/tumblr でスゴいスゴいと噂には聞いていたが、たしかに素晴らしい。何が良いかっていうと、「眠くならない歴史」であるところ。 話は少しさかのぼる。流行に乗っかって教科書開いたはいいが、あれだね、睡眠導入剤として最適だね、山川世界史。パブロフのなんちゃらのように、開いた途端、急速に眠くなる。「メソポタミア

    マクニール「世界史」はスゴ本
    bassai718
    bassai718 2010/03/05
    山川世界史は途中で挫折してしまった。やっぱ教科書は「勉強」するもので気軽に読めないのが辛い。
  • 『いま・ここ』そっくりの閉塞性・切迫感「訴訟」

    理由を聞かされず逮捕された主人公が、どんどん窮地に追い込まれる話。不条理なのだが、閉塞的でせっぱ詰まった状況だけは、いま、ここ、と妙に似ている。 「epi の十年千冊。」でカフカ「審判」の新訳が出ていたことを知る(epiさん、ありがとうございます)。しかもタイトルは「審判」の重々しいイメージとは変わって「訴訟」となっている。 「審判」を読んだときは、ちっとも"ついてこない"読書だった。カフカは難解なものだとハナから決めてかかり、すべてのエピソードに寓意を求め、裏読みを探す読書としてしまっていた。不条理でアイロニカルな「何か」を見つけることが、カフカを読むことだと信じていた。結果。なぜ?どうしてそうなるの?結局それはどうつながるの?と疑問符だらけの消化不良になった。 それが、epiさんの書評で変わった。曰く、「カフカを読むときはそのわけのわからなさが楽しめて、ときどき笑い、ときどき薄気味悪さ

    『いま・ここ』そっくりの閉塞性・切迫感「訴訟」
    bassai718
    bassai718 2009/12/19
    昔「審判」読んで挫折したので読み直してみたい。タイトルだけで大分印象が変わるね。
  • 「最近の若者はダメ論」まとめ

    近ごろ「最近の若者はダメ」が、(また)流行っているようなので、自エントリをまとめてみる。もし、「最近の若者は…」を見かけたら、ここを思い出してほしい。 きっかけは、職場の飲み会。「近ごろの若い連中はダメだ!」と一席ぶつオッサンがいたこと。それって、昔から言われてますね、と返すと、「何年何月何日に誰が言った!?出典どこだよ?何の根拠でそう断定できるんだよ?」ってオマエは小学生か。そこで調べてみたところ… ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 1. 近ごろの若者は当事者意識がなく、意志薄弱で逃げてばかりいて、いつまでも「お客さま」でいる件について [URL] 「最近の若者はダメだ」と昔から言われているが、特に今の若者はひどい。当事者意識が欠如しており、いつも何かに依存し、消費し、批判するだけの「お客さま」でいつづけている――という小論。出典を隠すと、内田

    「最近の若者はダメ論」まとめ
  • この本がスゴい2009

    今年もお世話になりました、すべて「あなた」のおかげ。 スゴいは多々あれど、独力で発掘できるはずもないので、スゴを読んだ「あなた」を探す。好きなばかりで傷気味で、お山の蛙か、井の中の大将になったつもりのわたしにとって、「あなた」は良い刺激であり指針でありアドバイザーなんだ。 そう、好きなだけ読むのもいいし、屋さんだけで事足れりとしてもいい、それでも読みきれないほど。そして、自分の周りに壁を築いて、ヒキコモるのもアリ(わたし自身がそうだった)。時折みかける独善に陥っている人を反面教師として、自らを戒める。ブンガク小説ばっかり読んで、世界を分かった気になっている人、科学リテラシーこそ全てで他はクズだとのまたう人、それぞれの得意分野では天狗だろうが、外から眺めていると、こっけいで仕方ない。 そんな「わたし」にならないために、広く、深く、遠くまで「あなた」を探す。「あなた」のおかげで、こ

    この本がスゴい2009
    bassai718
    bassai718 2009/12/02
    毎年お世話になってます。
  • スゴ本100

    いつのまにか1000エントリ超えてたので、ここらで100に絞ってみる。 このblogで「スゴ」認定されたもの、企画「この○○がスゴい」で挙げられたものを、100にまとめてご紹介。順序適当、偏見なし、ビジネス、サイエンス、エロマンガ。ブンガク、ビジュアル、なんでもアリ、啓蒙、アダルト、劇薬なんでもござれ。「ノンフィクション」、「フィクション」、そして「劇薬系・成人指定」の三立てでご紹介。番号は便宜上つけたものなので、ランキングにあらず。 こんなにスゴいに出合えたのは、すべてあなたのおかげ。いいはたくさんあるのだが、全部読んでるヒマもないし、探している時間も足りない。だからわたしは、スゴいを読んでいる「あなた」を探す。あるいはこのblogにやってきた「あなた」の言を待つ。そうしたツッコミやアドバイスをいただき、とても感謝しています。 この100リスト全て鉄板モノだが、「それをスゴ

    スゴ本100
  • 逃げ場としての図書館、あるいはプロ眼力の価値

    のかたち」という変わったフォーラムに行ってきた。の未来のビジョンとスキームを語らおうという場だ。詳細は[公式サイト]を参照。 出版界の危機を反映した、真っ向勝負のテーマなのに、キャッチボールのようなやりとりに拍子抜け。初回だからこんなものか。もっと殺伐とした、顔面ありドッジボールを期待するわたしが悪か。とはいえ、普段なら得られない「気づき」があったので綴ってみる。 まずは"逃げ場としての図書館"に反応した。これは、橋大也氏の提言の一つ「教会としての物理的図書館」の話の中で出てきた。曰く、管理教育に馴染めなかったとき、地域の図書館が一種の避難所として役に立ったという。そして、大検という選択肢があることを図書館で知り、人生を拓いたそうな。図書館とは「情報による救済と癒しの場」であって、「万人を迎え入れてくれて、放っておいてくれる場所」として重要だという。 おお、なんというシンクロニ

    逃げ場としての図書館、あるいはプロ眼力の価値
  • 「死ぬときに後悔すること」ベスト10

    余命、数週間。不自由な体、満足に歩くこともできない。日中も寝ている時間が多くなり、頭もうまくはたらかない ──そんな人生の最終章の人に向かって、こう問いかける。 いま、後悔していることは、何ですか? 「死ぬときに後悔すること25」の著者は、終末期における緩和医療に携わる医師。現場で見聞した、「余命いくばくもない状態で、後悔すること」をまとめたのが書なのだ。得られた答えは、多様でいて一様だし、複雑なようで単純だったりする。 もうすぐ自分が死ぬと分かっている人が、何を悔いているのか。これを知ることで、わたしの人生で同じ後悔をせずにすむのだろうか。考え考え読んで、いくつかの「先立つ後悔」を得ることができた。後悔は後からしかできないものだが、これはわたしにとって「先悔」となるものを、ランキング形式でご紹介。書では25章に分かれているが、わたし流にベスト10に絞ってみた。 第10位 健康を大切に

    「死ぬときに後悔すること」ベスト10
  • 大学教師が新入生にすすめる100冊

    恒例の100冊リスト。 ただし、これまでの趣向を外した。「ベスト100ランキング」は楽しいが、変わりばえしない。毎年似たような「ベスト100」をヒネり出すのも飽きた。ホントのところ、「大学新入生」と銘打っているものの、わたしのためのブックリストなのだ。読んできたやつ、未読のやつ、読みたいやつを抽出したりふり返るためのきっかけなのだから。 だから、今回はランキングをしない。母体のリストは、「大学教師が新入生にオススメする」なんだけれど、そこからの選出はわたしの手になるもの。今までのリスト作成の過程で知り合えたものや、「読まねばリスト」に追加したもの。積読山に刺さったまま、課題と化しているものを中心に100挙げた。 もちろんこの100冊を参考にしてもいいし、母体リストから自分専用の一覧を作ってもいい。母体のリストは三千弱になるが、元となったのは、以下のリスト。ブックガイドは多々あるが、「大学

    大学教師が新入生にすすめる100冊
  • はっきり言います、あなたのような生き方をしている限り、人生は千年あっても足りません。時間などいくらあったところで、間違った生き方をすればすぐに使い果たしてしまうものなのです

    はっきり言います、あなたのような生き方をしている限り、人生は千年あっても足りません。時間などいくらあったところで、間違った生き方をすればすぐに使い果たしてしまうものなのです 人生の原則として扱ってもいいが、かなえられなかった人生へのレクイエムとして読むと、より魅力的なになる。 「人生の短さについて」を読むと、ある気づきがもたらされるが、これを読もうとするような人は、遅かれ早かれ、自ら気づくに違いない。そのエッセンスはこうだ。 人は自分の時間を無駄遣いしている。自分が永遠に生きつづけるものと思い、他人のために使っている、今日という一日が、最後の一日かもしれないことを、忘れてしまっている。 死を免れないものとして、何もかもを恐れながら、そのくせ不死の存在であるかのように、何もかもを手に入れようと望んでいる。追い立てられるように毎日を過ごし、病にかかったかのように、未来を切望し、現在に辟易と

    はっきり言います、あなたのような生き方をしている限り、人生は千年あっても足りません。時間などいくらあったところで、間違った生き方をすればすぐに使い果たしてしまうものなのです
  • この世でいちばん面白い小説

    筒井康隆が「ひとつだけ選ぶならコレ」とベタ誉めしてたので手を出す。ジュヴナイル向け「巌窟王」で読んだつもりになっていたが、今回、岩波赤版「モンテ・クリスト伯」でブッ飛んだ。 ストーリーを一言であらわすなら、究極のメロドラマ。展開のうねりがスゴい、物語の解像度がスゴい、古典はまわりくどいという方はいらっしゃるかもしれないが、伏線の張りがスゴい。てかどれもこれも強烈な前フリだ。伏線の濃淡で物語の転び方がミエミエになるかもしれないが、凡百のミステリを蹴散らすぐらいの効きに唸れ。読み手のハートはがっちりつかまれて振り回されることを請合う。 みなさん、スジはご存知だろうから省く。が、痛快な展開に喝采を送っているうちに、復讐の絶頂をまたぎ越えてしまったことに気づく。その向こう側に横たわる絶望の深淵を、主人公、モンテ・クリスト伯と一緒になって覗き込むの。そして、「生きるほうが辛い」というのは、どういう感

    この世でいちばん面白い小説
  • 小説家のバイブル「小説の技巧」

    小説は自由だ。何をどう読もうと勝手だ。 けれども、小説から快楽を得ようとするなら、その技巧を知ることは有意義だ。前立腺やGスポットの場所を知らなくてもセックスは可能だが、より快楽に貪欲になるのなら、知っておいて損はないのと一緒(訳者の柴田元幸はもっと上品に、「ショートカットキー」に喩えてた)。「ヤってるうち自然と身につく」という奴には、「愚者は経験に学ぶ」という箴言を渡す。快は無限だが、生は有限。読める数は限られている。 同時に、小説書きにとってはバイブル級。読者を快楽の絶頂へ導く手引きが解説されているのだから。プロットやキャラといったハウツーを超え、マジック・リアリズムや異化、多声性、メタフィクションといった質的なレベルで語られる。しかもサリンジャーやナボコフ、ジョイスといった練達者のテクストが俎上乗っている。心してかかれ。 ただし、いそいで付け加えなければならないのは、「知る」ことと

    小説家のバイブル「小説の技巧」
  • 「自分を信じろ、好きを貫け」と160年前に言った人

    それは、ラルフ・ウォルドー・エマソン。ソローやニーチェ、宮沢賢治や福沢諭吉などに影響を与えた哲人で、その第一級の論文「自己信頼」の新訳版を読んだ。 これは自己啓発の原・原液。今でもコピペされることもちょくちょくあるので、皆さんの目にとまることもあるかと。自己啓発好きなら、全ての行に強烈に反応するだろう。言い換えるなら、これが祖にして極意なので、書をマスターすれば、コピペは要らなくなる。 たしかに、D.カーネギー「道は開ける」や、S.コヴィー「7つの習慣」を思い起こすような一節もあったが、書はもっとシンプルだ。そのキモはこれに尽きる――自己信頼(Self-Reliance)。自分の考えを徹底的に信じて、付和雷同せず、自己をよりどころとして生きろ、というのだ。 さらに、社会が規定する「善」や「良識」といった名目に惑わされるな、と説く。それがほんとうに「善」かどうかを【自分で】探求し、内

    「自分を信じろ、好きを貫け」と160年前に言った人