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フォルモサに関するishiducaのブックマーク (2)

  • 神を燃やす | フォルモサ南方奇譚⸺南台湾の歴史・文化・文学 倉本知明

    こんな奇譚がある。 その昔、東アジアに覇を称えたオランダ船が、深夜台湾海峡を航海中に一隻の賊船を発見した。指揮官の合図の下、百戦錬磨のオランダ兵たちは賊船に一斉射撃を行った。ところが、賊船からは一発の銃声も上がることはなく、ただ彼らの周囲をぐるぐる周航するばかりであった。よもや無人船かと勘繰ったが、船の上には確かに人影のようなものが見える。やがて夜の帳が薄いオレンジ色に染まった頃、オランダ兵たちは再び正体不明の賊船に向けてジッと目を凝らした。 船には誰もいなかった。 巨大な船内には色とりどりの紙糊で作られた大量の人形と、得体の知れない数柱の神像だけが載せられてあったのだ。オランダ兵たちは大いに驚き、慌ててこの不気味な無人船から身を引いた。彼らは一様に口を噤んでいた。いったい、その不気味さをどのように形容してよいのか分からなかったのだ。 数日後、賊船に向けて発砲したオランダ兵の半数は、まるで

    神を燃やす | フォルモサ南方奇譚⸺南台湾の歴史・文化・文学 倉本知明
  • 「鬼」をもって神兵となす | フォルモサ南方奇譚⸺南台湾の歴史・文化・文学 倉本知明

    数週間前、偶然海辺に立てられた招軍旗を目にした。 確か、恒春半島を枋寮から楓港ふうこうを経て、牡丹郷に向かう途上だった。屏鵝へいが公路と呼ばれる台26線の幹線道路上では、近くの集落からやって来た農業従事者たちが並べられるだけの商品を並べて、法定速度+αで疾走する旅行者たちの車を呼び込んでいた。 芒果マンゴー蓮霧レンブ皮蛋ピータン洋葱たまねぎ玉荷苞ライチ蜂蜜はちみつ釈迦しゃかとう菱角ひしのみ 手書きで書かれた巨大な看板の文字が、するすると背後へと流れ落ちていく。細切れになった言葉を口にすると、何やら念仏を唱えているような気がした。 馬手に広がる大海原には毒々しいまでの陽光が降り注ぎ、剥き出しになった首元や手の甲をチリチリと焦がしていた。ヘルメットのフェイスガードの下に、ぼくは夜市で購入した厚手のサングラスをかけた。どうにかまともに運転できるようになったが、それでも視界に映る景色は強烈な日差し

    「鬼」をもって神兵となす | フォルモサ南方奇譚⸺南台湾の歴史・文化・文学 倉本知明
    ishiduca
    ishiduca 2024/04/05
    いわゆる招軍旗とは、「鬼(=幽霊)」を招集するために立てられる神具である。
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