ブックマーク / kihiminhamame.hatenablog.com (654)

  • 一日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    (平太郎を掴む大きな鬼の手) (権八の蚊帳の外を歩き回る一つ目童子) 新日古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 扨《さて》、百物語せし後も何事も無く過ぎしが、「其の術《わざ》有れば、其の印《しるし》有りける」にや、六月も過ぎ、七月朔日の夜、平太郎権八が両家に、また類《たぐひ》無き化け物来たりける。 平太郎が宅に出でしハ、其の形定かに見えざれども、小山とも思《おぼ》しき程、鬼の如くなる者、眼《まなこ》は一ッにて、其の光、表の方より写りける程に、平太郎臥したる側《そば》なる障子《しやうじ》、火の輝くが如くにて、平太郎も驚き、「然《さ》らば、實証《じつしやう》を見ばや」と障子を開かんとせしに、少しも開かず。 猶《なほ》、押し開けんとセし内に、障子引き裂け、大いなる

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  • 発端『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    今回から、ももはな (id:however-down) さんのリクエストにお応えして、『稲生物怪録《いのうもののけろく》[「いのうぶっかいろく」とも]』を読んで行きたいと思います。 とは言っても、『稲生物怪録』は出版されたものではなく、書き写されて伝わったもので、色々なパターンの写が存在します。 『稲生物怪録』というのも、あくまでもこの系統の作品の統一書名で、タイトルも写によってマチマチです。 今回紹介するのは、絵系と呼ばれる系統の一冊で、タイトルは『稲生平太郎妖怪記』となっています。 今回紹介する写は、絵も字も下手であまり出来が良くないのですが、ブログに載せても大丈夫なのがこれしかなかったのでヾ(๑╹◡╹)ノ" なお、【原文】では、誤字脱字はできる限り修正しています。 挿絵の位置も文と合っていないので、合わせました。 (左下に蓑笠で比熊山を登る平太郎の姿) 新日古典籍総合デー

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  • ちょろけん まとめ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    バラバラに書いて分けわかんなくなっていたちょろけんについての事項をまとめてみました。 「ちょろけん」とは、かつて関西地方で行われていた大道芸です。 NHK朝ドラ「わろてんか」や、ちびまる子ちゃん、探偵ナイトスクープにも登場したことがあります。 それほど有名でもないのに、なぜか『広辞苑』でわざわざ挿絵付きで掲載されてる謎の項目ということで、ご存知の方もいるかもしれません。 私の持ってる第四版の『広辞苑』では上方郷土研究会『上方 -郷土研究- 25巻』(昭和八[1933]年刊)に掲載された古写真を元にしたイラストが掲載されていますが、ちょろけんはどうやら明治大正期を最後に廃れてしまったようで、この古写真は当時は既に廃れてしまっていたちょろけんを昭和初期に再現したものです。 編纂所だより - 大阪市立図書館 友人の持ってる第六版では『風俗画報 第三号』(明治二十二[1889]年刊)を元にしたと思

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    kapibara5168
    kapibara5168 2021/10/09
    初めて大阪に行った時に見たお土産のちょろけんのお菓子が人生で初めて「ちょろけん」を知った瞬間でした。見た目で「富良野のへそ祭り」を思い浮かべましたが、ひょっとしてちょろけんが由来なのかしらん?
  • 3-豆腐小僧 ~江戸時代の豆腐小僧及び類似の妖怪~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    というわけで、豆腐小僧を調べているうちに集まった、江戸時代(一部明治)の豆腐小僧及び類似の妖怪を一気にご覧いただこうと思いますヾ(๑╹◡╹)ノ" たぶん、これ以外にも豆腐小僧の画像はあると思うので、見つけ次第、追加していきたいと思いますヾ(๑╹◡╹)ノ" オリジナルの画像がここに貼れないものに関しては、イメージ画像で代用しましたので、ご容赦くださいませヾ(๑╹◡╹)ノ" どうしてもオリジナル画像がご覧になりたい方は、オリジナル画像が見れるサイトのリンクは可能な限り貼りましたのでヾ(๑╹◡╹)ノ" あ、今回は長めですw 記事を書くのに結構、時間がかかりましたヾ(๑╹◡╹)ノ" ◆『妖怪仕内評判記《ばけものしうちひょうばんき》』 (恋川春町作画、安永八[1779]年刊、黄表紙) 妖怪仕内評判記 : 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクションkihiminhamame.hatenablog.c

    3-豆腐小僧 ~江戸時代の豆腐小僧及び類似の妖怪~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    kapibara5168
    kapibara5168 2021/10/04
    4枚目の「夜明け時分に豆腐を買ってきて寝酒の肴の支度をする」豆腐小僧って、夜勤明けに寝酒のアテの豆腐をコンビニで買って帰る人間のオジサンと何が違うのかしらん。
  • 2-豆腐小僧 ~『夭怪着到牒』~【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    豆腐小僧の画像として一番よく引用されるのが、『夭怪着到牒《ばけものちゃくとうちょう》』(北尾政美画、天明八(1788)年刊)の挿絵のものです。 ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 夭怪着到牒 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション(3ページ目です) ※画像は拡大できます。 【原文】 化け物ゝ親玉見越入道現れ、手下の化け共を呼び出だす。 入道の孫、大頭小僧、雨のそぼ降る夜、豆腐屋を脅かし、一丁占めてくる。 【現代語訳】 化け物の親玉見越入道が現れ、手下の化け物どもを呼び出します。 見越入道の孫の大頭小僧は、雨がしとしと降る夜、豆腐屋を脅かし、豆腐を一丁奪ってきます。 【解説】 実は、ここでは豆腐小僧と言う名称は一切出てこず、描かれている妖怪はあくまでも大頭小僧とされてるんですよね。 というわけで、何だかよく分からなくなってきたので、次

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  • 1-豆腐小僧 ~『妖怪仕内評判記』~【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    今回から数回にわたって豆腐小僧を取り上げます。 以前に読んだ作品が中心ですが、バラバラに書いていたので、この機会にまとめようかなと。 豆腐小僧の初出は恋川春町作画『妖怪仕内評判記《ばけものしうちひょうばんき》』(安永八[1779]年刊)とされています。 『妖怪仕内評判記』は、役者評判記に似せて、妖怪たちの仕内(化け方、人の脅かし方)に点数をつけるという設定です。 ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 妖怪仕内評判記 : 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション(10ページ目です) ※画像は拡大できます。 【原文】 豆腐小僧といふ化け物ハ、頭大振りにて四五歳に見へ、眼《まなこ》ばち/\と光らかし、夜、人の後に付いて送る。 これは鼬《いたち》なり。 悪くすると仇《あだ》をなす化け物なり。 「なんだか襟元から水を掛ける様《やう》。 寒くなつて

    1-豆腐小僧 ~『妖怪仕内評判記』~【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    kapibara5168
    kapibara5168 2021/09/27
    いつも持っているあの豆腐はどこから調達しているのか気になっていたのですが、そんなヒドイことをして手に入れてるとは。見損なったぞ豆腐小僧。豆腐一丁くらいお小遣い貰って買いたまえよ。
  • 毛女郎 ~『変化物春遊』その3~【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    前回の『大昔化物双紙』で大活躍した毛女郎ですが、毛女郎は、おそらく鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』で最初に描かれた妖怪だと思われます。 これに関しては、過去記事をご参照くださいませ。 kihiminhamame.hatenablog.com で、今回は以前も取り上げたので、お読みになった方もいるかもしれませんが、『大昔化物双紙』と同じ桜川慈悲成作・歌川豊国画の『変化物春遊《ばけものはるあそび》』(寛政五[1793]年刊)という、妖怪図鑑みたいなの、毛女郎のページを取り上げたいと思います♪ ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 変化物春遊 : 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション ※画像は拡大できます。 【原文】 何屋とか言ゝける轡屋《くつわや》に、化け物ゝありと評判強く、「我も見たり」「彼もその由聞ゝたり」と言へども、如何様《いかやう

    毛女郎 ~『変化物春遊』その3~【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    kapibara5168
    kapibara5168 2021/09/24
    お六さんといい毛女郎といい、化け物女子はみんなモテモテですねぇ!顔が見えなくても美人オーラ満載ってことは「姿がいい」んでしょうね。おぢさんが何のおぢさんなのかが読めない。。
  • 12-大昔化物双紙(完)【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    【前回までのあらすじ】 もとの一つ目になった今入道でしたが、古入道と毛女郎から目を一つずつ譲られ、化け物大将・越後の国の三つ目入道となったのでした。 ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 大昔化物双紙 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (12ページ目です) ※画像は拡大できます。 【原文】 酒田《さかた》の金時《きんとき》ハ、「化け物退治セん」と、手薬煉《てぐすね》して待ちけるが、三ッ目入道ハ未《いま》だ若年の事なれば、「まだ/゛\折もあらん」と、金時は悠然として目出度《めでた》き春[新年]を迎へける。 歌川画 桜川慈悲成《さきらがわじひなり》作 【現代語訳】 坂田金時《さかたのきんとき》は、化け物を退治したくてウズウズしていたのですが、三つ目入道は何しろまだ若造なので、「まだまだワシの出る幕ではないな」と、金時はゆったりと落ち

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  • 11-大昔化物双紙【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    【前回までのあらすじ】 越後の国の大入道は息子の一つ目小僧に片目を与えて家督を譲ります。 一つ目小僧は今入道と名乗るようになりますが、遊郭の化けの里で愛の証として毛女郎に親から貰った片目を与えてしまいます。 それにつけこんだ丹波のヒヒは、養子の見越入道が今入道から受けた恥辱の仕返しに、今入道を化けの里から追い出し、毛女郎を揚げ詰めにしてしまいます。 毛女郎は今入道の後を慕って化けの里を抜け出し、いざ心中という時に、古入道[大入道]に発見されて心中は未遂に終わりました。 ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 大昔化物双紙 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (12ページ目です) ※画像は拡大できます。 【原文】 「子にハ目の無い親心」[「親に目なし」と同じようなことわざか]と古入道、何卒《なにとぞ》倅《せがれ》を化け物 大将《だいし

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  • 10-大昔化物双紙【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    【前回までのあらすじ】 親の越後の大入道から貰った大切な目を、愛する毛女郎に与えてしまった今入道。 それにつけこんだ丹波のヒヒは、養子の見越入道が今入道から受けた恥辱の仕返しで、遊郭の化けの里から今入道を追い出したのでした。 ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 大昔化物双紙 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (11ページ目です) ※画像は拡大できます。 【原文】 今入道、狒《ひ》ゝに悪口《あつかう》され、化け物ゝ位《くらゐ》を廓《くるハ》より追い下げられし事を、親の古入道《ふるにうだう》密《ひそ》かに聞ゝ、子故《こゆへ》の闇《やミ》に越後の国を出でゝ、倅《せがれ》が在《あ》り処《か》を尋ね、彷徨《さまよ》ひける折から、毛女郎は今入道が後を慕《した》ひ、廓を駆け落ちして、「二人死なん」と覚悟の所へ、古入道行き合ひ、化け物だけに子

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  • 9-大昔化物双紙【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    【前回までのあらすじ】 越後の大入道の跡を継いだ今入道は、親から貰った目をくりぬいて愛の証として毛女郎に渡してしまいます。 丹後のヒヒは、今入道に養子の見越入道が恥をかかされたのに腹を立て、このことにつけこんで今入道を散々罵った挙げ句、毛女郎を揚げ詰めにしてしまうのでした。 ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 大昔化物双紙 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (10ページ目です) ※画像は拡大できます。 【原文】 情けなや、今入道ハ狒《ひ》ゝが計らひにて、竹の小笠を被セられ、丸盆に豆腐を乗セて手に持たせ、廓《くるハ》の若い者に言ゝ付け、化けの里出口の柳の下へ追ひ出だされける。 「きり/\、消へてしまへ/\」 「早くどこぞへ行つて、子供でも脅かセやい」 「己《うぬ》が様《ざま》を見をれ、やつぱり元のちよろけん小僧だ。 ホンニ、惨《

    9-大昔化物双紙【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    kapibara5168
    kapibara5168 2021/09/17
    家督を譲られ、いっぱしの化け物のつもりで毛女郎と良い仲になったのにねぇ。自ら格を落とすようなマネをしたばかりにこの扱い。世間はキビシイ…。ずいぶん悲観しているみたいですけど、化け物でも死ぬのかしらん。
  • 8-大昔化物双紙【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    【前回までのあらすじ】 遊郭の化けの里で、越後の大入道の跡を継いだ今入道と、丹後のヒヒの養子の見越入道は、新屋の毛女郎を巡って争いになりました。 見越入道は諦めて引き下がったようですが、今入道が親から貰った目をくりぬいて毛女郎に渡しているのを、ヒヒのスパイの手水鉢の化け物に見られてしまい。。。 ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 大昔化物双紙 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (8ページ目です) ※画像は拡大できます。 【原文】 見越入道は今入道に大きに凹《へこ》まされしかバ、親分の狒《ひ》ゝ、大きに腹を立ち、 「年寄つての里通いは余りでかさぬ事ながら、見越が恥を雪《すゝ》がん」 と新屋の毛女郎を揚《あ》げ詰《ず》めにしておく。 「ヤイ小僧、如何《いか》に年が行《ゆ》かぬとて、親の譲りし一つの目を、毛女郎のために刳《く》り貫《

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  • 7-大昔化物双紙【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    【前回までのあらすじ】 遊郭の化けの里で、越後の大入道の跡を継いだ今入道と、丹後のヒヒの養子の見越入道は、新屋の毛女郎を巡ってケンカを始めましたが、毛女郎が間に入って、その場は何とか収まりました。 ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 大昔化物双紙 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (8ページ目です) ※画像は拡大できます。 【原文】 「入道さん、疑ひが晴れたハいのう」 今入道、毛女良へ心中《しんぢう》に片/\の目を刳《く》り貫《ぬ》いてやる。 「痛い/\、目板鮃《めいたびらめ》ときてゐる」 手水鉢《てうづばち》の化け物、水鏡《みずかゞミ》に此の由《よし》を見て、狒ゝに告げる 【現代語訳】 毛女郎「今入道さん、トラブルが解決してよかったですのう」 今入道は毛女郎への愛の証《あかし》として、片方の目をくりぬいて渡しました。 今入道

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  • 6-大昔化物双紙【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    【前回のあらすじ】 遊郭の化けの里で、越後の大入道の跡を継いだ今入道と、丹後のヒヒの養子の見越入道は、新屋の毛女郎を巡って争いになったのでした。 ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 大昔化物双紙 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (8ページ目です) ※画像は拡大できます。 【原文】 かくて二人の入道、互いに「毛女良を貰う」「ならん」の言いゝ尽くより、「刀に掛けて」と抜き連れて戦う所へ、新屋の毛女良駆け来たり、二人の刀を収めさせ、一先《ひとま》づ新屋の二階へ連れ行く。 「我から引け」 「我から引け」 【現代語訳】 こうして二人の入道は、お互いに「毛女郎はオレが貰う!」「ダメだ!」と言い合い、「刀で決着をつけよう!」とついに刀を抜いて戦い始めました。 そこに新屋の毛女郎が慌てて走ってきて、二人に刀をしまわせ、とりあえず新屋の二階に

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  • 5-大昔化物双紙【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    【前回のあらすじ】 一つ目小僧は越後の大入道に家督を譲られ、今入道と名乗って諸国化け修行に出ます。 一方、丹波のヒヒは見越入道を養子に迎え、今入道に一泡吹かせるように命じます。 ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 大昔化物双紙 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (7ページ目です) ※画像は拡大できます。 【原文】 今入道、つく/゛\と思ひけるは、 「化けの里には多《おふ》くの化け物ゝ入り込む所なれば、此の里に入り込ミ、化け修行せん」 と、毎夜《まいや》/\、通ひけるが、此の頃の突き出し、新屋《しんや》の毛女郎《けぢよらう》と深く馴《な》れ初《そ》めける。 狒《ひ》ゝが養子の見越入道ハ、毛女良が突き出しのその日より、色/\心を尽くし、手に入れんとしけれども、一向得心無ければ、「如何《いか》なる訳《わけ》やらん」と思いけるに、毛女

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  • 4-大昔化物双紙【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    【前回のあらすじ】 一つ目小僧は越後の大入道に家督を譲られ、今入道と名乗って諸国化け修行に出ます。 一方、丹波のヒヒは見越入道を養子に迎え、今入道に一泡吹かせるように命じます。 ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 大昔化物双紙 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (6ページ目です) ※画像は拡大できます。 【原文】 ここに化けの里とて、数多《あまた》の化け物、現《うつゝ》を抜かす廓《くるハ》有り。 中にも長首屋《ながくびや》のお六《ろく》、大寒屋《おゝさむや》の雪の夜とて、その頃 名代《なだい》の全盛有りけり。 この廓の素見《すけん》、玉蜀黍《たうもろこし》の化け物、西瓜《すいくハ》の化け物、そゝり歌で出掛ける。 「とんだ美しいもんだ」 「エウ、たうもろや、これからちつと、もゝんぢい横丁を冷やかそふじやァねへか」 「おゝ、笑止《

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  • 3-大昔化物双紙【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    【前回のあらすじ】 大入道の息子の一つ目小僧は、大入道から片目を与えられて二つ目になり、家督を譲られ、諸国化け修行に出たのですが。。。 ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 大昔化物双紙 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (5ページ目です) ※画像は拡大できます。 【原文】 丹波の山奥に狒々《ひゝ》と言ふ者有りて、良く人を悩まし、猪《しゝ》・狼《おゝかめ》を取り喰らひ、山を荒らしけれバ、里人これが為に悩まぬ者無し。 丹波の国の化け物大将と言ふ。 然るに、狒々が一子を山童《やまワらう》と言へり。 されども山童は化け物大将となるべき働きなけれバ、狒々 詮方《せんかた》無く、見越入道《ミこしにうだう》と言へる者を子分に頼ミ申しけるハ、 「此の度、越後の国大入道が倅《せがれ》一ッ目小僧、世を取って今入道と言へり。 彼、化け修行に出でたる

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    kapibara5168
    kapibara5168 2021/09/09
    山童としちゃあヘコむのは仕方ない。でも能力がないとわかっているのに我が子可愛さだけで家督を譲っても…っていうヒヒは名を馳せるだけあって有能ですね。そしてモテモテの彼女はここにも出てくるのねぇ。
  • 2-大昔化物双紙【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    【前回のあらすじ】 越後の国の大入道は、片目をくりぬいて息子の一つ目小僧に与えて家督を譲り、隠居したのでしたが。。。 ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 大昔化物双紙 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (4ページ目です) ※画像は拡大できます。 【原文】 一ッ目小僧は、 「入道に世を譲られ、中/\今迄の様《やふ》に、丸盆に豆腐《とふふ》を乗せて、雨降りに柳の下から「もゝんじい」とやらかすような、まだるい事をしては、大入道の株が廃る」 と、かの童子格子《どうじがうし》の大褞袍《おほどてら》を拵《こしら》へて、鉄の棒をよた/\と突いて、諸国化け修行と出掛けける。 「俺が形《なり》は、「ひらがな」の辻法。何という身だ」 「親父はよつぽど人に怖がられたもんだが、俺も上手くやりたいもんだ」 【現代語訳】 一つ目小僧は、 「大入道に家督を

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  • 1-大昔化物双紙【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    今回から、前回の『化物夜更顔見世』と同じ、桜川慈悲成作・歌川豊国画の『大昔化物双紙』(寛政七 [1795]年刊)を読んでいきたいと思います。 この作品も以前に取り上げたので、ひょっとしたら読んだことがある方もいるかもしれませんが、四年近く前のことなので、私もすっかり内容を忘れていましたヾ(๑╹◡╹)ノ" ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 大昔化物双紙 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (3ページ目です) ※画像は拡大できます。 【原文】 御存知の越後の国の大入道、一子を一ッ目小僧とて寵愛《ちやうあい》しけるに、此の小僧、親に劣らぬ化け巧者《ごうしや》にて有りしかば、数多《あまた》の化け物、入道《にうだう》に言ふ様《やう》、 「一ッ目殿、今は天晴《あつぱ》れの化け様なれば、入道は隠居《ゐんきよ》して、世を一ッ目に譲り給へ」 と

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  • ⑫化物夜更顔見世【再読】(終) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    【前回までのあらすじ】 川太郎(河童)は、人間の与四郎に取られた元許婚のお六(ろくろ首)を取り戻すために、野良狐の玉の力で人間の色男に化けたはずだったのですが。。。 ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 化物夜更顔見世 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (13ページ目です) ※画像は拡大できます。 【原文】 化け物共、ちょろけんに追い散らされ、「どうも化けた気《き》だが、化けねヱとハ合点がゆかぬ」と、野良狐が方へ来たり、この由《よし》を話せば、狐、「それは心得ぬ」と名玉の箱を取り出《いだ》し、よく/\見れば、玉ハ何時《いつ》の間にやら鳥《とり》の町《まち》[「(鳥の町に)鳥が帰る」→「取り替える」ということ]、唐《とう》の芋《いも》とぞなりにけり。 狐も肝を芋にして、「いもうようもない」と呆《あき》れたとのこと。 いかに青《あ

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    kapibara5168
    kapibara5168 2021/09/05
    川太郎たちはお互いの姿を見て気づかなかったのかしらねぇ。許嫁を奪われた挙句、里芋に最後のオチすらも持っていかれた川太郎、無念。お次のお話は目玉おやじ…に似たあの方かしら。