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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/zoot32 (8)

  • 『空気人形』を見たゼ! - 空中キャンプ

    渋谷にて。初日。是枝裕和新作。とてもよかったです! すごくいい映画でした。是枝のフィルモグラフィーは、つねに、あたらしい方向性とアイデアで刷新されつづけてきていますが、今回はおもいきって性の暗部にも踏み込むなど、さらに新境地を見いだした感があります。とつぜん心を持ってしまった、人形の女の子の物語。 空気でふくらませる人形を恋人に見立てて同居している独身男性(もちろん夜は性行為あり)、という生々しさにもかかわらず、描き方はまったく下品ではなく、映画のたたずまいは凛としている、というあたりに、是枝監督の矜持を見ました。『ラースと、その彼女』とはまた別の方向性を持つファンタジーになっていましたが、孤独というテーマを扱う手つきには、どこか共通点も感じられました*1。ペ・ドゥナかわいい! 全脱ぎ! しかし、ペ・ドゥナのはだかがいっさい下品にならないのも、ストーリーの力だとおもいました。 この映画にで

    『空気人形』を見たゼ! - 空中キャンプ
    roadman2005
    roadman2005 2009/10/05
    「底なしの孤独」がキーワード
  • 私たちまだ死んでない - 空中キャンプ

    サリンジャーは、「ジェローム・デイヴィッド・サリンジャー」という、それだけですぐにユダヤ系だとわかってしまう名前を隠すために、ずっと、JDサリンジャーと名乗っていたのだという。かくいう私も、ちょっとだけそれに似た理由で、たかこ BLと名乗っている。BLがなにを略しているのかを、私は口にすることができない。だから私は、行儀のいいタクシー運転手みたいに、余計なことをいわず、どこへいってもできるだけおとなしくしている。 私たちの日での生活はいくぶんきゅうくつだ。いつも、誰かに見つかってしまわないかとそればかりを心配している。三者面談のときには、お父さんにきちんとひげをそってスーツを着てもらうようにおねがいしなければいけなかった。「ちゃんとしたスーツを着てね」と私はいった。「なるべく原理主義者っぽくないやつ」。お父さんは肩をすくめて、「わかってるよ。俺は三者面談にはターバンを巻いていかない主義な

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    roadman2005 2009/09/11
    8年前のあの日
  • 『96時間』を見たゼ! - 空中キャンプ

    渋谷にて。悪の組織に娘を誘拐されたお父さんが、フランスで大暴れする。いい映画でした。このお父さんの前半における枯れぐあいと、アクションシーンでのいきいきした感じの対比なんかはとてもよかった。 原題は『Taken』という、わりとそっけないものでしたが(『捕られた』)、『96時間』はそれなりに映画の内容を伝えているので、わるくない邦題だとおもいました。 映画のしかけとして、冒頭から事件発生より前の父親には、あまり共感できないようになっている。いくら娘がかわいいからといって、仕事を辞めて、17歳の娘のまわりをうろうろしているって、それは親としてどうなんだ。こんなお父さんがいては息苦しいし、子どもの性格も曲がってしまう。もっと働くなり、自分の生活を充実させるなりしないと、家族にだって尊敬してもらえないのではないか。 しかし、このお父さんの、娘に対する愛情は、まるでマグマのように噴出する過剰さ、理不

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    roadman2005 2009/08/30
    「最大のバイオレンスは、娘への過剰な愛情なのだ。」
  • 静岡にいったことはありますか - 空中キャンプ

    帰りの電車のなかでおかしな男に絡まれた。きっかけは、閉まりかけのドアにわたしが飛び込んだことだ。むりに入ったので、閉まるときに、ひじのあたりががつんとドアにぶつかった。すると、近くにいた土木作業員風の若い男(坊主頭、ピアス)がわたしに向かって、「迷惑なんだよ、オイ」「オマエみたいな奴がいるとむかつくんだよ」と悪態をつきはじめた。もとはといえばわたしが悪いのだが、ややこしいことになった。 しばらく無視をしていたが、「聞こえてるんだろう、テメー」「オイ、このやろう」などと言い続けるので、しかたなく急いで別の車両に移動した。もう、まいったなあ。ところが、移動したとなりの車両でしばらく立っていると、あろうことか、そいつもわたしを追ってくるではないか。どうしていいかわからない。男は「逃げんじゃねえ、オイ、テメー」と因縁をつけてくる。うーん、ややこしすぎる。しばらくうしろを向いて立っていたが、さすがに

    roadman2005
    roadman2005 2009/06/03
    ショート・ショート.メジャー作家デビューも近いぞ!
  • お母さんと子ども - 空中キャンプ

    いぜん住んでいた家の近くには区民プールがあって、夏になるとわたしはよくそこで泳いでいた。たしか、200円で4時間泳げるとかそんな感じだったとおもう。公園の中にある屋外のプールで、とても気持ちのいい場所だった。わたしはいつも、そこで気が済むまで泳いでから、プールサイドで文庫を読んだりしてすごした。たぶん8年くらい前の話だ。 その日もわたしは区民プールにいて、適当に泳いでからプールサイドで休んでいると、わたしのとなりに3人の親子連れがきた。お母さんと、娘ふたり。わたしのいるすぐ横にシートを敷くと、タオルや水筒の入ったかばんを置いて、3人は座った。親子連れの会話をなんとなく聞いていると(他人の会話は聞くよね、たいてい)、どうやら娘ふたりの「どうしてもプールに行きたい」「今すぐ区民プールに連れていくべし」という要求に負けて、お母さんがふたりをここに連れてきたらしいということがわかった。暑い日だっ

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    roadman2005 2009/05/02
    上手いショートストーリー:「子どもを育てるとはかくも理不尽な戦いであるとそのとき感じた。」
  • 『チェンジリング』を見たゼ! - 空中キャンプ

    歌舞伎町にて。クリント・イーストウッド新作。おもしろかったです。劇中における数多くのエピソードが、実は伏線になっていて、それらをあまさず回収していくといった執拗な展開もすごくて、「え、これも回収するんだ」「どうなっちゃうんだろう、この話……」と、どきどきしながら見ました。テーマはいかにもイーストウッド的な、正義の追求と遂行についてなのですが、もうひとつ、きわめて興味ぶかいテーマが用意されており、こちらがとても映画的でおもしろかった。 われわれは、ある人物Aが、他の誰(B,C,D,E)でもなく人物Aであることは、自明であるとおもいこんでいるのだが、実はこの立証はとてもむずかしいことが、映画を通して語られる。行方不明になっていた息子が五ヶ月ぶりにもどってきた。しかし、あきらかに自分の息子ではない。それを申し立てると、警察はこういうのだ。「あなたは精神的ショックで現実をきちんと見れていない」「子

    roadman2005
    roadman2005 2009/02/22
    「『チェンジリング』を見たゼ!」観たくなるような映画評.
  • 気がつかないふり - 空中キャンプ

    映画『フレンチ・コネクション』(‘71)でわたしがいちばん好きな場面は、主人公の刑事が尾行に失敗する地下鉄のくだりだ。尾行される麻薬の密売人は、自分の後を刑事がつけていることに気がついている。刑事も、密売人が尾行に感づいており、自分を巻こうとしていることを知っている。しかし彼らは、尾行する/されるというお互いの立場を決して崩さず、なにも気がつかないふりを演じつづける。 誰の目から見てもあきらかな真実がある しかし、それを口にだすことは禁じられている 誰もが真実を知りながら、それに気がつかない演技をつづける わたしは、刑事と密売人という、いわば敵同士にあたる存在が、ひとつのルールにもとづいてお互いに協力しあいながら真剣に演技をしている、というふしぎな描写がとても気に入っていて、このおもしろさはどこからくるのだろうとおもう。こうした状況は、もちろん尾行だけではなくて、いろいろなことにあてはまる

    roadman2005
    roadman2005 2008/12/06
    映画評からの強引な前振りが自然に思えるのがこの人の筆力
  • 考えてしまう - 空中キャンプ

    平日に酒を飲むのがあまり好きではなくて、なぜなら酒を飲むと意識がぼやけて、思考や集中ができなくなってしまうためである。が読めなくなるし、すぐに眠くなってしまうのもいやだ。また、朝起きたときにやけに喉がかわいていてだるく、しかもこれから仕事にいかなくてはいけない、というあの感じもかったるい。 くわえて、アルコールが入ると、おもいだしてもあまり意味のないことが頭をよぎるようになる。和田アキ子がジャネット・ジャクソンのPVを完コピしたこと。森田芳光の映画『そろばんずく』のタイトルの意味を、「そろばん塾」が訛ったものだとおもっていたこと。これらの記憶はいらないのではないか。 そういえばわたしは、五歳のころ、台風の日に外にでたら、あまりにすごい風で、三メートルくらい宙に浮かんだ記憶がある。飲むとわりあいよくおもいだす、子ども時代の脳内捏造記憶のひとつである。しかし、風にとばされた瞬間の、からだがふ

    roadman2005
    roadman2005 2008/09/27
    眠りたいのに眠れない時の体験。きっと良いアイデアも湧いてきますよ!(忘れちゃうけど)。
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