こんなことは誰も知らない。誰も興味ないし、調べることも考えることもない。加奈本人だって知りたいとも思ってないだろう。 もっとも、それを言ったら加奈を知ってる人からしてたくさんはいない。そう、あなただって加奈のことをいまのいままで知らなかった。同じ惑星の、そう遠くない場所にいるとても優しい女の子なのに。 (中略) ぼくだって、高度二万六千四百九十九kmから秒速七十mで墜落中、加奈のことはまだ存在も知らなかったんだ。加奈のこともあなたのことも、この惑星の表面に棲息する、あなたたち微生物のことなんてなにひとつ知らなかった。 『カナスピカ』より しばらくはちょこちょこ更新予定。見つけた順に上から追加していきます。 ネタバレの基準というのは人それぞれではありますが、本作の場合筋を知っても面白さが削がれるということはあまりない気がします。ので、未読の人もお気軽に。 人間の少女が空から落ちて来た人工衛星