まだ読み終わっていないのだが、発売されたばかりの日経新聞編集委員の三宅伸吾氏の新著、「市場と法-今何が起きているのか」(日経BP社)が面白く、通勤の電車の中でむさぼるように読んでいる。 まず、カバーしている範囲が極めて広い。最初はライブドア事件、村上ファンド事件が中心なのかな、と想定していたのだが、それは第一章「市場への背信」の一部であり、この章では日興コーディアル粉飾事件もかなりの詳しさで論じられている。続く第二章の「検証・刑事司法」ではいわゆる国策捜査を中心に、検察など捜査当局の取調べの問題点を鋭く批判している。第三章の「敵対的企業買収」ではニッポン放送事件、ブルドック事件などにおける論点を改めて整理している。 さすがにここで終わるのかなと思いきや、三宅氏の筆は止まらない。第四章「ルールを創る」では公取の競争政策や住友信託とUFJの「統合破談」の事例について論じ、第五章「弁護士と法律事