短編小説 2008年のダライ・ラマ6世 きのうマックでリナと話していて、「ねえ、アリサ。チベット弾圧ってひどいよね」と言われた。わたし、世界史は好きだけど、そういうことはよくわかんないと答えた。リナはいろいろネットで仕入れた話をしてくれた。そのせいで夢にダライ・ラマが出てきたんだと思う。 彼、瀬戸康史みたいな感じでけっこう美形だった。だれ?きみ?ってきいて、「いちおう、ダライ・ラマなんだけど」って彼が答えたときはびっくりした。まさかね。服装はそれっぽいけど髪長いし。 「ダライ・ラマってさ、十条駅前とかにいそうなオッサンっぽい人じゃないの? それとも若いときはこんな感じ?」 「いまのダライ・ラマは14世で、ぼくは6世」 「ひいお爺さんのそのまたひいお爺さんくらい?」 「ダライ・ラマって結婚しないし、子どももいないんだ」 「童貞はガチ」 「ぼくの場合ちょっと違うんだけど、輪廻転生って知っている