治安維持法違反で逮捕され、24歳で非業の死を遂げた社会運動家、伊藤千代子(1905~29年)の生涯を描いた劇映画「わが青春つきるとも」の自主上映会の輪が全国で広がっている。監督とプロデューサーを務めた埼玉県所沢市在住の桂壮三郎さん(74)は「命を懸けて信念を守った千代子の生き方が共感を呼んでいる」と話す。11日には所沢市で上映会が開催される。 伊藤千代子は現在の長野県諏訪市の生まれ。小学校の代用教員などを経て入学した東京女子大学でマルクス主義に出合い、社会運動に身を投じていく。故郷の製糸工場の労働争議、労働農民党の選挙支援などに関わり、共産党に入党。1928年に治安維持法違反で特高警察に逮捕された。拷問を受けても変節しなかったが、同志でもあった夫の転向、長期の拘留が彼女の精神をむしばみ、入院した病院で肺炎のため24年の短い生涯を閉じた。 桂さんはこれまで社会派の映画を製作しており、2019