「こーんな話、誰が得をするんですか?」 と、午前八時台の情報番組の司会者は、甲高い声をあげた。 「だって、ずっと昔の終わった話でしょ?」 「どうしていまさら蒸し返すのかしら?」 コメンテーター諸氏も、口々に同様の見解を申し添えていた。 分かるよ、オグラさん、あんたの言う通りだ。こんな話題をほじくり返しても誰も得なんかしない。 でも……、私は、画面を眺めながら、それでもこう思った。 「スキャンダルというのは、そもそもそういうものなんじゃないのか?」 と。 不倫ゴシップは、かかわった当事者に利得をもたらすために報じられるものではない。あたりまえの話だ。 誰もが損をし、誰もが傷つく。だからこそそれは醜聞と呼ばれている。 それが、いつの頃からか、ワイドショーが取り上げるスキャンダルは、「誰かが得をする」タイプの話題に限られるようになった。テレビはゴシップをコントロールし、自社生産し、一口サイズに裁
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