高橋アオ●文 text by Takahashi Aophoto by Jussi Eskola courtesy of HJK 現在のサッカー界では、日本人選手の海外移籍が日常的に行なわれているが、そのなかでも欧州の強豪国に比べてFIFAランキングが下位の国や競技力が低いとされる国で、人知れずプレーしている日本人選手を「ひっそり海外組」と称することがある。たとえば、ルーマニアで活躍している瀬戸貴幸(1部アストラ・ジュルジュ)はJリーグを経由せずに、海外でプロデビューを果たし、チャンピオンズリーグ予選やヨーロッパリーグで活躍するまでになった。 瀬戸のように「ひっそり海外組」と呼ばれる選手たちは、日本で活躍したことがないケースが大半だ。しかし、やや事情が異なる選手もいる。J1アルビレックス新潟で200試合出場の実績を持つ田中亜土夢は、海外でのプレーを決断したときにフィンランドを新天地に選んだ