今回のテーマはプロジェクト管理である。前回までの4回で日本のシステム開発のやり方に関して議論を進めてきた。そこで述べた筆者の結論は、「基本設計が機能分割による準モジュラー型アーキテクチャであり、詳細設計以降を一人のSEに任せる万能型SE一貫生産方式である」というものである。このような特徴のある日本のシステム開発では、どのようなプロジェクト管理が行われるべきだろうか。もし、開発手法の特徴をうまくつかんでプロジェクト管理が行われるのであれば、何も意識しない場合に比べて、プロジェクトの成功率はもう少し高く押し上げることが期待できる。そこで、今回は、開発手法の特徴から見て、どんな管理ポイントが重要となるのか考察してみたい。 完全成功率が低い理由 本稿の第7回でお示した日本情報システムユーザー協会(JUAS)の調査したプロジェクトの成功率のデータ(表7-1)を覚えておられるだろうか。CIO諸氏に