私は、寒い部屋でパソコンのキーボードに向かっている。パソコンの乗っている机の上は乱雑で、お茶や飲み干したお酒の缶を潰したもの、未開封の書類などで埋め尽くされている。傍らにはメモとプリントアウトされた申請書が並んでおり、そこには入院する際に必要になりそうなものを書き出している。奥さんが入院する。部屋の中では夜中にも関わらず、すこしバカな犬がリンゴをかじっていて、エアコンをつけてはいるがまだすこし肌寒い。別段何が起こったわけでもないような、普段とまるで変わらない状況である。すこし前に雪がこの地方(三重県北部)にしてはどかっと降ってキリッとした寒さが訪れた後に徐々に春に向かっているような空気に変わってきている。いつもならばこの季節はなんだかよく分からないが嬉しい予感を感じる季節である。西に望む山の頂上付近には雪が目につくが、カカさんが住んでいる場所(長野県)に比べればなんてことはないささやかなも