平成15年6月の朝日新聞のスクープをきっかけに全国的なニュースにまで発展した「いじめ教師事件」というのをご存じだろうか。福岡市の公立小学校の男性教諭が、アメリカ人の曾祖父を持つ9歳の男児に対し、人種差別に基づく凄惨な虐待やいじめを繰り返していたとされる事件である。 〈『死に方教えたろうか』と教え子を恫喝した史上最悪の『殺人教師』〉 「週刊文春」は目を剥くようなタイトルと教師の実名まで曝して、その行状を書き立てた。 発端は家庭訪問である。担任児童の母親から、家系にアメリカ人の尊属がいることを聞き出した教諭は、「外国人の穢れた血が混ざった」などと、差別意識をむきだしにしたアメリカ批判をまくし立てた。 この家庭訪問の翌日から、言語に絶する虐待が始まる。下校前、この児童にだけ10秒で荷物を片づけるよう命じ、できないと、両耳を引っ張る「ミッキーマウス」、鼻をつまんで振り回す「ピノキオ」など、