先日、「豚足を食べている夢を見ながら自分の手を囓(かじ)った男」というジョークのような中国発のニュースが話題になった。人口が多いとさまざまな珍事が起こるものだなと感じた方も多いと思うが、実は寝ている間にこの男性のように不可思議な行動を取ってしまう人は中国に限らずかなり多い。一般的な睡眠障害外来であれば週に一人くらいは新しい患者さんが受診するほどポピュラーな症状なのである。 とはいえ、今回の「豚足ガブリ」を医学的に見れば首をかしげる部分も見受けられた。そこで、この男性に本当はいったい何が起こったのか考察してみたい。意外と多いこうした行動への理解を深めるとともに、睡眠障害の診断プロセスの一端を理解していただくよい素材と思ったからである。ごく短い記事であったが経過を要約すると以下の通り。 浙江省に住む20代の男性がいとこの家を来訪して飲酒し、そのまま宿泊した。翌朝、自分の左手首を囓って血を流して