ボールと相手を走らせたスペイン 【西部謙司】2008年07月02日 ユーロ決勝のスペイン対ドイツの序盤で、現地解説の岡田武史監督が「スペインの動きがカタい」と言い、「ドイツのほうが場慣れしている」と放送中に話していた。そうだったかもしれないが、少し違うのではないかという気もした。 スペインは後方でボールを回し、リスキーなプレーを控えていた。一方、ドイツは中盤でしっかりゾーンの網を張り、スペインのパスを引っかけて一気に攻め込むぞという構え。セルヒオ・ラモスの横パスがクローゼに引っかけられてあわやというシーンもあり、スペインが決勝の雰囲気に飲まれているような印象は確かにあった。 しかし、あの消極的とも見えるチンタラしたパス回しは作戦だったと思う。 「彼らは我々の勢いを削ぎ落とす」 これはイングランド代表監督だったテリー・ベナブレスの言葉だが、「彼ら」はヨーロッパ大陸諸国で、「我々」はもちろん