非科学的なことが大嫌い!…というメーカー勤務の青年がマイナスイオンドライヤーの企画部署に配属されて騒動を起こす小説『賢者の石、売ります(朱野帰子)』の勝手レビューです。 「おちさん、一緒にお買い物に行って食事でもしませんか?」 小説家の朱野帰子先生から、そのような主旨で誘われたのは2年ほど前のことだったと思う。 「今度ね、エセ科学と闘う人の話を書こうと思うんですよ。マイナスイオンドライヤーなんて全部嘘!…みたいな」 すました顔で冷えたグラスを傾ける彼女に向かって、私は「へぇ」と曖昧な返事をするのがやっとだった。 困惑したのには理由がある。 そもそもプロの作家が顔見知り程度の素人に新作のあらましを喋るという状況が謎なのだけど、よりによってエセ科学批判って…。 一般に、この問題は非常にデリケートなテーマとして知られている。科学を装うデマに苦言を述べて擁護派からの激しい攻撃に遭っている人なら、こ
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