国際標準化がなぜ今重要なのか −標準音痴日本の失速− この記事は通産省・工業技術院・国際規格課長の藤田昌宏さん(当時)から許可を得て掲載しています 本題に立ち戻り、以上のような世界経済の動向を受けて、国際規格の分野における近年の大きな環境変化を四点指摘したい。 第一は規格の世界的統一の動きである。 従来「貿易障壁の除去」といえば関税の引き下げがまず課題とされてきた。しかしながら、関税がゼロになっても自由な貿易が保証されるわけではない。そこで「非関税障壁」がより注目されるようになり、非関税障壁の一つとして、各国の規格の相違が注目されるようになった。国毎に違う規格が存在すると自由な物流を事実上阻害するからである。 この結果、「規格」を貿易障壁としないための方策がウルグアイラウンドの主要なテーマの一つとされ、交渉の結果締結されたWTO/TBT協定(貿易の技術的障害に関する協定:Agree