女の「美」に対するコンプレックスや執着心というのは、並々ならないものがあるな、と思う。その理由のひとつには断然、男が面食いだというのがある。きれいにしてりゃモテるわけだから、より多くの男の中からより良いのを選びたい女からすると、必死になって「美」を追求したくもなるだろう。美しくしていることで人から、とりわけ男から注目を得られる快感というのが、おそらく女のDNAにすり込まれているのだろうな。着飾ってメイクして、見違えるようになりたいと多くの女は思う。 けれども現実は悲しいかな、人が振り返るような美人に生まれつくよりも、フツーの容貌で生まれてくる女のほうが圧倒的に多い。ということはつまり、少女漫画の読者もフツーの容貌の人が多いということになるだろう。また、それがどういう意味を持つかというと、ストーリーに「美人迫害」と「美人と同列」という形になって現れる。これが『好きしか知らない』の大きな骨格を