――『【推しの子】』では、キャラクターそれぞれの演技もハマっているように思いました。演技におけるディレクションでこだわった部分はありますか? 平牧 感情の切り替えが速く、振り幅が大きい作品なので、切り替えが難しい部分はありました。そこは気をつけつつ……たとえば、会話のテンポ感にしても、退屈しないように考えました。 ――たとえば、第6話~第7話で見せる黒川あかねの演技なども、繊細さの中に見える芯の強さが、のちの彼女の存在感につながっていくと感じました。 平牧 石見(舞菜香)さんはお上手ですし、彼女がアイ化するのは原作を読めば把握できることなので、物語の展開も含めてあまり細かいことは言いませんでした。「もうちょっと明るく」などの調整をお願いしたくらいですね。それは有馬役の潘(めぐみ)さんもMEMちょ役の大久保(瑠美)さんも同じです。オーディションのときに皆さんの声の特徴とキャラクター性を考えて
――本作は芸能界とアイドルを描く一方で、アイを死に追い込んだ犯人を追うサスペンスとしての要素もあります。映像面では、このサスペンス感をどのように意識しましたか? 平牧 間(ま)と色ですね。たとえば、目の前に広がる景色や人間の姿も、少し青みを足すだけでホラー感が増しますよね。 ――青の要素で生気が失われる分、恐怖を煽るような絵になります。 平牧 映画やドラマでは当然、そのような効果を入れるのですが、そのさじ加減と、どのシーンで入れるのかを慎重に判断していきました。ここはサスペンスタッチで、ここはギャグでなど、原作でも描かれているものをどういう順番、リズムで映していくのか、という部分ですね。アニメでもカッティングという作業があるのですが……。 ――制作したカットを、放送尺に沿ってつなぎ合わせる編集のことですね。 平牧 はい。この作品では話数によって「定尺」(作品が放送される時間)が変わるので、
アイドルの視点から見る芸能界、そして転生とサスペンスの要素を巧みに組み合わせた大ヒット作『【推しの子】』。原作ファン以外にもその人気を広げ、幅広い層の心をつかんだアニメ版『【推しの子】』は、どのように作られたのか。監督・平牧大輔に直撃したインタビューの第1回は、その制作体制とアイドルの表現について。 ――『【推しの子】』の第1期は第1話の放送直後から大きな話題になりました。世間の盛り上がりはどのように感じていましたか? 平牧 原作の人気はもちろん知っていましたが、アニメがここまで盛り上がるとは思っていませんでした。久しぶりに友達から連絡が来たりして、ヒットすると親戚や知人が増えるというのは嘘じゃなんだなと思いました(笑)。 ――制作体制をお聞きしたいのですが、各話の演出担当だけではなく、今回は助監督として猫富ちゃおさんが参加していますね。 平牧 助監督がつくのは今回が初めてだったのですが、
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