『考える障害者(新潮新書)』(ホーキング青山/新潮社) ホーキング青山氏は「車イス芸人」だ。生まれつき手足などの関節が未発達で変形していて動かない障害があり、普段は電動車イスに乗っている。当然舞台にも電動車イスに乗って出る。 かなり昔だが、青山氏の芸人デビューのドキュメンタリー番組を、偶然テレビで目にした。最初彼が用意したのは普通のネタであったがそれがまったくおもしろくなく、先輩芸人たちに「笑わせる気があるのか?」と叱咤される。そして本番、電動車イスでひとりでレンタルビデオ店にAVを借りに行くという、思いきったネタに変えて見事笑いをとっていた。国の支給金でAVを借りる、手が使えないので女性店員にAVビデオを取ってもらう、など捨て身の笑いは自虐的できわどいが、本人でなければできない芸当でもある。 本書『考える障害者(新潮新書)』(ホーキング青山/新潮社)は、そんな芸と同じスタンスだ。障害者の