対価は604億円──。青色LED(発光ダイオード)の職務発明の対価を巡り、米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授の中村修二氏が、元勤務先の日亜化学工業を相手に起こした裁判。2004年の第1審判決で東京地方裁判所は対価を604億円と認定し、請求額満額の200億円の支払いを日亜化学に命じた。 金額のあまりの大きさに産業界のみならず一般の人々も衝撃を受け、判決の是非についての論争が巻き起こった。その当時のことを今も覚えている人は多いだろう。中村氏の代理人を務め、この判決を引き出して辣腕弁護士としての名声を高めた升永英俊氏。その傍らに常に控えていたのが、当時27歳ながら升永氏の右腕として頭角を現していた荒井裕樹氏だ。 同氏は升永氏の後継者として、日本の法曹界で大きな仕事を成し遂げていくと目されていた。ところが2年前に突然、年俸4億円超という訴訟弁護士の仕事を辞めて転身を図る。新たに足を踏み入れた