2017年10月、衆院選のさなかに東京都内で演説する安倍晋三首相。野党党首として2012年12月の衆院選で政権を奪い返して以来、国政選挙で5連勝と圧倒的な強さを誇る。 REUTERS/Kim Kyung-Hoon 2019年7月4日、参院選が公示され、21日の投開票に向け選挙戦が本格化する。 分裂したままの野党は政権を追い詰める迫力を欠き、安倍晋三首相は6月26日の記者会見で「最大の争点は、安定した政治のもとで新しい時代への改革を前に進めるのか、それとも再び混迷の時代へと逆戻りするかだ」と余裕たっぷりに言い切った。 しかし、安倍首相が成果としてアピールする「日本経済の好転」の内実は、「若い世代や将来世代にツケ回しをしながら莫大なコストをつぎ込み、何とか低空飛行を維持している」というものだ。 政権が金看板に掲げてきたアベノミクスの実像とは——。 ある大企業の首都圏の事業所で「肉体労働系の仕事