恋愛から政治まで、女が全権力を握る島がある。仕切るのは女の喜び、甘えるのは男の特権。どちらも「本当に幸せ」と声をそろえる──。 スペインのジャーナリストが、西アフリカの小国ギニアビサウに、古代アフリカ伝統の母権制を貫く社会を訪ねた。2005年11月に創刊したクーリエ・ジャポン第1号で、強烈な印象を放ったルポルタージュが再登場! ■ギニアビサウ ギニアとセネガルに接するアフリカ西部の共和国。人口約141万人。大陸部とビジャゴス諸島など60の島からなる。国民のほとんどが自給農業に従事。かつて奴隷貿易の拠点とされたが、74年ポルトガルから独立。使用言語は、公用語のポルトガル語のほか、各部族語およびクレオール語。 午前3時、4時、6時とニワトリが時を告げ、エティオゴに朝が訪れる。目に入るのは椰子の木がそびえる空、海草が一面に揺れる海、そして赤土の村ばかり。まるで時間が止まっているかのようだ。だが、