Lesson539 おかんの昼ごはん 連休、 ふるさとに帰ってみると、 おかんが「老いて」いた。 一緒に、夕飯のしたくをしながら、 あぜんとした。 おかんは自分から始めようとしない。 私にやらせようと、 指示ばかりしている。 「きゅうりを切って」とか、 「うなぎを温めて」とか、 私が言われたことをやっていると、 そばにひっついてばかりいる。 じっと見ていたり、 無駄話したり、 私の切り方に注文をつけたり、 いっしょに切ろうとしたり。 分担というか、分業が、いっこうにはかどらない。 「おかあちゃん、卵を焼いたら?」 私は、分業をうながした。 どう考えたって、 手分けしたほうが早い。 おかんは、そろそろと、ボウルをもってきて、 私のほうへ向けて言った。 「ほんなら、ここへ、 卵をわって、いれてェ。」 わたしは、苛立つような、哀しいような、 泣きたいような気分になって、つい声をあらげた。 「おか