『本棚探偵の回想』(喜国雅彦著・双葉文庫)より。 (「単行本のためのあとがき」の一部です) 【昔ほど、素直に「古本古本」と声高に言えなくなっています。ここに書いたとおり、出版不況の一因に「新古書店」の存在があげられているからです。僕の場合は「新刊書店で売っている本を安く買うため」ではなく「絶版になった本を見つけるため」に、そこを利用しているのですが「ではそこで新刊を買ったことは一度もないのか?」と問われれば「それはある」と答えざるをえません。「でもそれは昔のこと。今ほど状況が切迫していなかったから」という言い訳は、遠い外野から見れば意味を持ちません。あとは自分なりにどう折り合いをつけていくかです。 そこでこうすることにしました。「とりあえず、新古書店には本を持っていかない」 他で1000円で売っている本が300円で売っていたら、欲しくなるのは人情です。というか、そんなに欲しくなくても、つい