SFに最も相応しいスターシップは、燃料に反物質を使ったものと相場が決まっている…それは最も力強く、かつ不思議な説得力があるからだ。火星への遠征は何トンもの化学燃料を要するが、反物質であれば、僅かミリグラム単位の塊があればそれでいい。 だが一方、この実現化にはそれ相当の代償も伴う。ある種の反物質反応では高エネルギーガンマ線が放射されるのだ。ガンマ線は物質を貫通し、生体細胞を構成する分子を破壊する。つまり、健康的とはいえない。また、このガンマ線はエンジンそのものを構成する物質にも作用し、それを放射性物質に変えてしまったりする。 ところで、NASAのアドバンスド・コンセプト研究所(NIAC)は、反物質を燃料にし、かつ、このような危険性を押さえるような新型宇宙船のデザインを研究しているチームの後押しをしている。 “反物質”はよく、“物質”のミラーイメージとして説明される。反物質…その振る舞いは“物