東京国立近代美術館フィルムセンターのアーカイブ活動において、映画フィルムとならんで重要な位置を占めるのが、ポスター・スチル写真・シナリオ・関連文献など映画関連資料の収集・保存事業です。そのうちポスターの所蔵枚数は現在5万枚を超えましたが、中でももっとも貴重なコレクションの一つが、無声映画時代後期のソビエト連邦で制作され、ロシア・ソビエト文化研究家・翻訳家の袋一平(1897~1971)によって日本にもたらされたソビエト映画のポスターです。 1917年のロシア革命によって成立したソビエト連邦は、映画という新しい芸術様式を大胆に開拓し、エイゼンシュテイン、プドフキン、ドヴジェンコ、ヴェルトフをはじめとする尖鋭的な映画芸術家を輩出して世界に衝撃を与えました。また、同時期にはグラフィック・アートの分野でも若きアーティストが活動を開始し、とりわけ1920年代に盛んになった構成主義の思潮は、新社会の建設