倒産寸前の老舗有名旅館が一家離散の危機から脱し、業界の革新的システム『陣屋コネクト』を実現した苦難のドラマ 神奈川県秦野市にある鶴巻温泉は、ピーク時に20軒近くあった旅館が今では3、4軒に激減し、すっかり寂れてしまっている。しかし、来年で創業100年となる老舗『陣屋』は、今も客足が絶えない。約1万平米の庭園に純和風の18の客室を備える贅沢な宿だ。 経営するのは社長で女将の宮崎知子さんとその夫の富夫さん。元々、知子さんはリース会社のOLで、富夫さんはホンダ技研工業のエンジニアだった。ふたりとも旅館業の経験はなかったが、富夫さんの父親である先代社長が急逝、母親の先代女将も病床に倒れたことで家業を継ぐことになった。 その当時、陣屋は10億円の借金を抱え、買い手も見つからず、宮崎夫妻の2児の子どもにまで借金の影響が降りかかる状況に直面し「一家離散を避けるためにも継ぐしか選択肢はなかった」と宮崎夫妻