ときどき物凄いパワーを持った本に出会うときがある。最近では「フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略」もそんな本だった。この本が出てからネット業界の人と話をすると、まるでこの本を読んでいることが前提のような話し方に変わっていて驚いたことがある。だれもが「どこまでを無料としどこから収益を得るのか」という明確な戦略を持ってオンライン事業に臨むようになった気がする(一方で、新聞業界は恐らくこの本を読んだことのない人が力を持っているから、今だに有料化に向けて迷走しているのだろう)。この本が出てからというもの、ネット戦略に関する議論がスムーズに進むようになった。「この部分をフリーとし、ここからはフリーミアムにするんです」といった話し方で、こちらの意図が簡単に伝わるようになった。業界の共通認識を一歩前進させるパワーを持つ本だった。 佐々木俊尚氏著の「電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)」も、そうした