【ベストセラー作家のアイデアを出すコツは?】 夢枕獏『秘伝「書く」技術』がおもしろかった。 「陰陽師」「キマイラ」「サイコダイバー」などのシリーズや、『上弦の月を喰べる獅子』『神々の山嶺』『大江戸釣客伝』などの傑作を書くベストセラー作家・夢枕獏が、朝日カルチャーセンターで行った講義をもとにまとめた本。 創作の秘密を、ストレートに、具体的に、時に熱く語る。 【ベストセラー作家の書く秘訣は?】 第一章は、『大江戸恐竜伝』のアイデアに出会うときから、完成するまでを語る。 南の島に恐竜がいて、平賀源内がそれを連れてくるというアイデアが、“「なぜ源内は南の島に恐竜がいることを知るのか」。それから、「どうやって恐竜を南の島から日本まで連れてくるのか」。この二つの問題が浮上”してくる。 最初のアイデアが、次々と決めなければならない設定を連れてくるのだ。 感嘆するのは、下調べの密度。 『大江戸恐竜伝』では