もう何年か前のことになるが、金融機関系の経営コンサルタントの知人から依頼されて、小さな工場を見に行ったことがある。知人は経営面の数字を見て提案の骨子を作ろうとしていたが、製造現場にもいろいろ問題がありそうだと感じたらしい。ただ化学系の工場は不得意なので、プラントもよく知っているわたしに手伝ってほしい、とのことだった。年商数十億の小規模工場なので、わが勤務先の仕事につながる可能性は少ないかとも思ったが、出かけることにした。 住宅地にほど近い県道沿いに、その工場はあった。敷地内に数棟の工場建屋がたっている。その一棟の中にある事務室にわたし達は通された。副工場長や製造課の方々から、まずどんな製品を作っているのか、どんな工程から製造されるかの概要を教えてもらい、それから工場を一巡りする。これはどこの工場を見学する際も同じである。ただ、そのときの「一巡り」の順路が、最初のポイントになる。工場全体の分
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