英国の地図 グレアムさんは、福島原発事故の影響で「日本の漁師たちが、風評被害を受けないか、心配だ」と顔をくもらせた。 セラフィールドでは1万人が働く。原子力は、ほかにさしたる産業のない地域の大黒柱といえる。地元で表だって批判を唱える人はわずかしかいない。 だが、この地方の公衆衛生を統括するジョン・アシュトン博士は「住民の胸には不安感がよどんでいる。そのいくばくかは原子力産業の秘密体質に由来する」と語る。セラフィールドの環境団体COREの代表マーティン・フォーウッドさん(70)は「微量とはいえ、汚染魚を食べ続けたら、将来どうなるかわからない」と話した。(セラフィールド=橋本聡) ■魚介類、健康心配ない水準に セラフィールド再処理工場から、最も高い濃度の放射性物質が海に排出されていたのは、1970年代だった。英スコットランド政府の報告書などによると、濃度が高いところでは、セシウム137