日本が打ち上げた世界初の温暖化監視衛星「いぶき」。宇宙から地上付近の二酸化炭素やメタンなど温室効果ガスの濃度を測定する。これまで先進国を中心に200ほどしかなかった地上の観測地点が、「いぶき」によって全世界の5万6000地点に増加。情報が得られにくい途上国で、泥炭火災が膨大な二酸化炭素を排出している様子や、巨大炭鉱の上空を高濃度のメタンガスが覆っている実態を捉えた。「いぶき」のデータを様々な分野で活用する動きも始まっている。ある企業では大陸を横断するパイプラインのガス漏れを「いぶき」で監視するシステムの開発に乗り出し、途上国からは二酸化炭素の排出量取引に「いぶき」のデータを活用しようと検討する国も現れ始めた。温室効果ガスの削減に向けた国際交渉が行き詰まる中、温暖化監視衛星が世界にもたらし始めた変化に迫る。