〈15、16、17日の3連休にて『母性』(湊かなえ著)の本をチラッと目にして、表紙が大変気に入り、吸い込まれるようにして、一気に読みすごしました。亡母と私と4人の子どもと孫と……。私なりに「母性」とは? と思い、考えをめぐらしてすごしました〉 今年7月、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚の弁護団や支援者らが大阪市内で開いた支援集会。これは、会場で女性支援者が朗読した林死刑囚のメッセージの一節だ。 19年前に逮捕されて以来、一貫して無実を訴え、現在も裁判のやり直しを求めている林死刑囚。収容先の大阪拘置所の独房で1冊の小説を読み、自分の半生や離れて暮らす家族に思いをはせていたことが窺える。 私はこれまで全国各地の刑事施設(刑務所や少年刑務所、拘置所など)の被収容者たちに取材してきたが、林死刑囚に限らず、獄中生活を送る者たちの読書に関する印象深いエピソードは少なくない。刑事施設における読書事情と併