「余剰次元」という5次元の存在を提唱し、物理学の世界に革新をもたらした物理学者、リサ・ランドール米ハーバード大学物理学教授。著書『宇宙の扉をノックする』(NHK出版)は、難解な宇宙物理学の最先端の内容を、できるだけ平易に解説しようとした意欲作だ。 なぜ、このような本を書いたのか? 宇宙については、科学でどの程度まで解明できそうなのか? ランドール教授に聞いた。(聞き手は広野彩子)※一部、映画「ゼロ・グラビティ」のストーリーに触れています。 物理学の世界は大変難しいのですが、この『宇宙の扉をノックする』を書かれたきっかけは何ですか。 ランドール:米国では科学や科学的思考についていろいろと誤解があると感じておりまして、じっくり説明したいと考えたのがきっかけです。 科学というのは非常に単純に描かれることが多いのです。ある着想があって、予想して、そして確認するというプロセスのように思われるのですが