これはまさに唐突で不可解な、そして先の見通しなしに断行された愚かな振る舞いで、将来に禍根を残すといえるのではないか――。 4月14日、民間の参入を阻害しているとして、稲、麦、大豆の種子生産を都道府県に義務付ける主要農作物種子法の廃止法が国会で成立。来年4月1日に同種子法が廃止されることになった。 この“廃止劇”の第一の問題は、もっとも重要である廃止理由や経緯が明確ではない点にある。つまり物事を進める上で不可欠な「5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)」が不明なのだ。ここでは、何がなんでも民間での種子開発を推進したいという意図に基づく強引さが際立ち、後味の悪さだけが残った。 そして最大の問題は、同種子法廃止によって、消費者の生存に必要な稲、麦、大豆の安定的供給を図るための、優良種子の生産・普及に支障をきたしかねないという点にある。さらに、外資系企業参入や遺伝子組み換え稲などの