どの携帯電話事業者の電波も届かず、圏外となる「不感地区」。兵庫県内では本年度、人口30人以上の集落では基地局設置のめどが立った。だが丹波、但馬地域などにある30人未満の小規模集落では、事業者の採算が合わないことなどから、解消される見込みは薄いという。住民は「緊急時や災害時に携帯電話は必要。過疎地だけが取り残されていく」と不満を募らせている。 大阪府能勢町と隣接した篠山市南東部、後川新田の原地区。山あいの同地区では、死亡や転出により、現在暮らすのは7戸18人。山が遮り、どの事業者の電波もほとんど入らない。小嶋清春自治会長(62)は基地局設置のための用地を確保し、市に要望を行ってきたが、めどは立たない。 「携帯電話はいまや必需品。まるで過疎地には住むなといわれているようだ」と小嶋会長。「20代の住民もいるが、携帯が入らないところにずっと住んでくれるかどうか。こういった不便さが、過疎化に拍車を掛